第10回歌人・短歌紹介レジュメ
日程:2021年1月27日(水)20:00~
抜粋
「優先順位がたがひに二番であるやうな間柄にて梅を見にゆく」
「ここはしづかな夏の外側てのひらに小鳥をのせるやうな頬杖」
「街にあふれるしろさるすべり忙しない日々に救はれながら私は」
「加藤治郎と固めの柿を噛む午後の肝心なこと欠けてゐる音」
「雪のベランダには齧られてゐた夢のかけらと貘の足跡がある」
「この私はどうしようもなく春の雪どうしようもなく荻原裕幸」
「春が軋んでどうしようもないゆふぐれを逃れて平和園の炒飯」
「それは世界の端でもあつてきみの手を青葉を握るやうに握つた」
「昭和の川がいまも流れてゐる街があるこの梅雨の夜のどこかに」
「ゆうパック来て佐川来てクロネコ来てその勢ひか某勧誘が来る」
「百円硬貨がいま落ちてゆく自販機のひえびえとした臓器を思ふ」
「雲はたぶんひとのこころと同質の成分だだからあのやうに動く」
「句点やたらに少なきてがみ悲しみが隙間に入りこまないための」