生への意志
真理に向かって、『生存への意志』ということばの矢を射かけた者は、もちろん真理を射当てなかった。そういう意志は――存在しないのだ。 その理由はこうだ。まだ存在しないものは、意欲するはずがない。またすでに存在しているものが、さらに存在や生存を意欲することは、ありえぬことだからである。
およそ生があるところにだけ、意志もある。しかし、それは生への意志ではなくて――わたしは君に教える――力への意志である。 生きている者にとっては、多くのことが生そのものより高く評価される。しかもそういう評価のしかたそのもののなかに明らかに見てとれるのが――『力への意志』である。