環世界
すべての動物はそれぞれに種特有の知覚世界をもって生きており、それを主体として行動しているという考え。ユクスキュルによれば、普遍的な時間や空間(Umgebung、「環境」)も、動物主体にとってはそれぞれ独自の時間・空間として知覚されている。動物の行動は各動物で異なる知覚と作用の結果であり、それぞれに動物に特有の意味をもってなされる。ユクスキュルは、動物主体と客体との意味を持った相互関係を自然の「生命計画」と名づけて、これらの研究の深化を呼びかけた。
私たちは普段、自分たちをも含めたあらゆる生物が一つの世界のなかで生きていると考えており、すべての生物が同じ時間と同じ空間を生きていると考えている。
しかしユクスキュルによれば、すべての生物がその中に置かれているような単一の世界など実は存在せず、すべての生物は別々の時間と空間を生きているという。