成熟有意説
ゲゼルが提唱した概念で、学習にはレディネスが整っていなければならないという考えである。この概念の前提としてワトソンの行動主義による学習観を押さえておきたい。ワトソンは、学習を条件付けとして捉えるため、子どもがどのような発達段階にいたとしても、学習は可能だと考える。それに対してゲゼルは、ある内容を学習させるためには子どもの側が、その内容を学習するのに適切な発達の段階にまで達していることが必要であると主張した。このように子どもの側に、ある内容を学習するための準備が出来ている段階をレディネスという。成熟有意説には対応する実験があり、双子を対象にした階段上りを学習させるものである。片方の子供には早くから階段上りの学習を始め、もう片方の子どもにはそれよりも遅く学習を始めた。結果は遅く学習を始めた子どもの方が、階段上りを早く習得するというものであった。これの説明として、早く学習を始めた方の子どもはレディネスが整っていなかったために、学習があまり意味をなさなかったということが考えられる。このような実験から成熟有意説が提唱された。 はじめ.icon