合一という発想
これは古今東西どこにでもある発想だと思われる。むしろ科学的発想が浸透した現代であまり目にしないだけなのか。
ソクラテスの知徳合一や知行合一、王陽明の知行合一などもここに含まれるのかもしれない。
そして中世から近代にかけては、神との合一(法悦という宗教体験)みたいな発想があったんじゃないか。
西田幾多郎が主客合一という概念を提唱しているらしい。Wikipediaによると、「個々の人間としての主体が客体を認識する場合にそれと合一するようなことを言う。主客合一となる場合には、人間というのは純粋経験が最も大きくもっとも深く現れた状態ということでもあり、これが愛している状態でもあるわけである」。
これはエーリッヒ・フロムの『愛するということ』の記述に概ね一致する。
本書によると、人間の最も強い欲求は孤独の牢獄から抜け出したいという欲求であり、そこから他者と合一したいという欲求があるのだと主張しており、古くからいかに合一に達するか、いかに他者と一体化するかが問題となってきたと語っており、そのタイプ分けが本書の主題の一つとなっているように見える。