久住哲が哲学を勉強したきっかけ
この話はけっこう何回かVCでも話したことがあります
私が哲学を勉強しはじめたのは、大学で倫理学専修になってしまったからでした。 いや、「なってしまった」って、あなたが自分で専攻を選んだんでしょう!……とツッコミが入りそうだが、実感としては、「久住ってひとは、倫理学専修になったんだね」というかんじだった。
とはいえ、芸術史や英語学、中国文学などを専攻する気はなかった。それらははじめから選択肢になかった。特定の分野に情熱はなかったとはいえ、消去法をすることはできていた。フランス文学か、哲学か、倫理学か、あるいは行動科学か、心理学か……そういう選択肢までは絞れていた。 私は大学一年生の頃、単位を落としまくりながら孤独な大学生活を送っていて、だいたい毎日文学を読んでいた。専修を決めなければならない。したいことがないのに、これをやってゆくというのを決めなければならない。そういう決断の時が来るのは大変憂鬱でした。
そんな春頃に読んでいたのは坂口安吾の短編集で、専修希望を提出する前の日にぱらぱら読んでいたら、なにかの評論のなかに「道徳」という言葉が出てきた。道徳といえば倫理だろう、道徳という字を読んだから倫理学にしよう。そうして、第一候補に「倫理学」と書き、ほとんど倫理学と同じものである「哲学」を第二候補に書いた。その時にはもう、そのふたつのうちのどちらかでなければイヤだと思うようになっていた。(哲学書をぜんぜん読んだことがなかったのに) そうして、私は倫理学専修になったのですが、まあ、二年生になっても単位を取ることが難しかった。
私は単位を取るために、哲学書を同級生よりも比較的多く読んでいた。
倫理学専修になってしまって、哲学系で単位を取る必要があったので、哲学を勉強しはじめた。
それがきっかけです。
哲学掲示板におけるネット議論が、原書(邦訳)へと向かうきっかけになりました。