フロイトに還れ
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最近この言葉の意味が少しずつわかってきました。
フロイトの死後、精神分析は様々な学派に分かれます。自我心理学派、クライン派、対象関係学派、ラカン派などがあります。ラカンの理論はこのような他学派との対決を通じて形成されているので、ここにラカン読解の手掛かりがあるとも言えます。中でもラカンの最大の敵は、フロイトの娘であるアンナ・フロイトを代表とする自我心理学派でした。自我心理学派を一言で説明すると、フロイトの第二局所論の自我を重視する派閥です。 フロイトが残した理論に第一局所論と第二局所論(構造論)というのがあります。第一局所論は、意識・前意識・無意識、第二局所論は超自我・自我・エスというものになります。自我心理学派は、第二局所論が第一局所論を乗り越えて生まれたものだと考えます。つまり、第二局所論が出たからには第一局所論は考える必要はないだろうと。しかしラカンは、それは乗り越えではなく、並行的に存在しているものだと考えます。つまり、第二局所論が出たとしても第一局所論の重要性は減じることはないと。 ラカンがこの中で最も重視するのは無意識です。ラカンが対決するのは自我心理学派の無意識軽視の考え方なのです。もちろん言うまでもなくフロイトの最大の貢献は無意識の重要視でした。なのでフロイトの死後、無意識軽視の潮流を憂いて、ラカンは「フロイトに還れ」というわけです。 ただラカンの立場から見ると、自我心理学派は道理がわかっていない憎き敵のように見えてきますが、見方によってはラカン理論に対する最大の貢献者ともいえるわけです。自我心理学派というわかりやすい敵がいたからこそ、ラカンは自分の理論を発展することができた。ここに何か考えさせられるものがあると思うんですね。
要点:
・ラカンは無意識重視
・自我心理学派は無意識軽視
・ラカンは自我心理学派との対決により理論を形成した部分がある。
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