ナンセンス作文を書いてみよう(その2)
久住哲.icon 2022/5/16
天に向かってゆくしかない、いつのまにか枯れたこの身を妨げるものはもうない。木枯らしの泣くイマジネーションの、すばやく枯れたこの身を。砂漠みたいな昨晩、君は煙草をひとつくれた。薄暗い部屋のなかで、君の火種をよこしてもらった。真っ暗なのは、産毛に閉ざされたわれわれの無数の孔だ。ほら、この前の写真展で、写真家の人から地図を貰ったんだ。ここに君の故郷がある。ここに君のこの傷跡の由来がある。偶然引かれた線が、偶然のまごころを連れてきて、やがてこうとしか言えないような状態に固定する。凝集した細胞は、シャボン玉のようにトタン屋根に降りそそぐ。窓から見たとき、その街には影たちが憩う。ざわめきもなく、怒りもなく、雄叫びもなく、喘ぎもなく、酒もなく、酢飯もなく、すごろくもない街なんだ。そこで僕は育った。しかし、と彼は言う。その、なんだ、あなたは美しい。必ずあなたはロマン主義的なしかめ面を掲げて日本中を裁断してまわることだろう。よほどの気まぐれを起こさなければ、最高裁判所の前で君は写真を撮られる。もちろん、早朝に、ね。うれしい。私たちは手のひらを合わせて、お互いの指の長さの違いを測った。同じ時刻にそうしている人が十万人はいるだろう。みなお互いのサイズの違いを気にしている。いやいや、それは偶然の線の一本。
akilla.icon インナーカラーに協力してください。その魚網とTシャツを置いてください。あなたの眼はふたつの対照を捉えています。もうすぐ火山から流れる赤黒い河からツンドラの氷穴へ雪が降ります。モデルルームに気をつけてください。その靴下とボールペンを置いてください。あなたのうしろの眼はひとつの対照を交えていません。これから銀の燭台は溶け、金の葡萄は枯れようとしています。
久住哲.icon 2022/11/14
ゴマフアザラシの大群が攻めてきたと聞き、一太はすぐに立ち上がり、横の兼田に目配せして、横断歩道を渡っていった。眼下の竹浪は踊りながら蛇を食べている。コンクリートが溶け出して、夕光(ゆうびかり)が静かに亡びを伝えていた。明日は我が身と思った我らは、西の方に向かい、命乞いをするアナゴを八つ裂きにして、ゴマフアザラシと一緒に食べた。やがて、遅くとも夕べ、正午ごろ、遺体で見つかった坂本さんは、そのまま息を引き取りました。詳しくは後ほど、ペーパーホルダーか何かで宅配便にて郵送します。そこまで行ったら、もう安心です。詳しくは、そこで。まあ、必ずしも確かではないんで。ゴマフアザラシみたいに夕べも楽しかったです。ゴリラなのか、どうなのか。水のような緑の大群に襲われて、逃げてきたんですけど、夢の続きのように架空仙台の街に再び現れた、大きな蛾のような物体は、突然飛来し、自動筆記って言うんですけどね。どこかのプロジェクトで見たんで、またやってみたんですよ。でも、ゴルフ場に入ったらまた怒られますよ。口調も変わって、正午ごろ、約束のバスが来ずに途方に暮れた健二は、いつものようにバス停を破壊して、バス停の下のコンクリートのところをむしゃむしゃと食べました。そして穴を掘って、ブラジルにっていうのは、なんかベタじゃないかっていうか、リアリティに欠けるって思ったけど、ライティングマラソンの要領で許すことにした。そこまで行けば、あとはもうあと少しなんで。歩道橋を渡ったらすぐ左に入って、そうすれば死神っていう喫茶店があるんですよ。そこの店内に入ってもらって。そしたら店主が笑顔で迎えてくれるんで、料理の写真撮っていいですかって聞いたら、もちろんいいですよって答えてくれるので、右から左に受け流して、歩道橋から落ちる人を見てください。そしたら、スイカ。これは流血の比喩だと思う。昼の名残りが夢に現れるってフロイトの『精神分析入門』に出てきたけど、このような自己言及は本来であれば検閲に引っかかるんだけど、今の場合は、それもそのまま自動筆記に盛り込まれているから、正常な文章と奇妙な光景が混ざってナンセンス作文としては純粋さを失っている気がするけど、これが何も考えなければ起こることなので、そのまままっすぐ進んでもらって。よろしければ、空港までお連れしましょうか?いや、別に御礼はいいです。まあ、くも膜下出血みたいです。岩が割れて、カマキリが卵を産んで、食べたばっかりなんですが、ゴマフアザラシの大群がイナゴの大群とガチンコ勝負してるんで、いざとなったら助けますんで。でも海に出たら、ブイが浮かんでるところまで競争しよう。そうしたら、どちらがよりふさわしいか分かる。何にふさわしいかが抹消されたことにより、かえって君の言いたいことはわかったよ。どうせ、山に帰るんでしょう。山に行っても行き止まりで、赤い鳥居から何かが吊り下がっていて、スマホでズームしたらセミの抜け殻のようだった。私は神社の階段を下りて、ふと自分の靴を見てみると、びっしりと何か植物の種のようなものが靴にこびりついていた。触れてみると、ネバネバとしていて、取るのに時間がかかった。私は、そのままドラッグストアに行き、洗濯をして乾燥機にかけた。処方箋を受け取り、バスに乗った。バスには男の人がいて、年齢は50歳くらいだった。やがて、その男の人はおりていった。そこから、バスで10分ぐらいしたところで家路に急ぐ。やがて、黄金色の朝陽が、雪崩れ込むように深いところに下っていった。どうしてもって言うのなら、見せてあげてもいい。この箱は、大昔、私が小学生の頃に作ったものだ。なにかの空き箱だろう。そこに木片をボンドでくっつけてある。その四面には、なにか絵が書いている。そこには、同級生からもらったプレゼントが入っていた。私はそれをノックして、扉が開くと、中には[Discordの通知が鳴り、記述は中止された。] 久住哲.icon 2023/4/5
かげになくふもうのがまのごとしふねんのじょうもんとすうはいのくもうにいみるくそうのうのむなしさのごとしはるかのねがんとがんぞうのむうずうにはばけるかるかなあるまがきはいなるかそうふ。うずたかきふらすこのげいにががさむのうともらすなかれ。いすものうみそのやまいからしんりげんしょうなるせけんとうかなよふかしは。がんとうせんめいのふうすうなるけげんのごうぞうにいましかたのはがんぜっしょうなるそそうのこういかな。がらいのもうとうのくふ、すらはのようそなるしゅうずかな。せいせいなかるさまいのそうふと、ようこうふのそごうに、さまざまながんとゆくすえのふうぶつのどうらんにかえる。
久住哲.icon 2020/10/26
偵察気分。安らぎのソムリエ。操作した船頭がやぶ睨みの蛇にそっと歌うと、うっすら気まずく整形したアヒルの細かい模様には立花の春を、越える定義には、ユスリカの温度に、襖を切り結び尊さの回路を、揺すったような経験に災いを誘惑が裁断する神々の計画は夕日から落ちてくる岩肌の噛み砕く天体の空室はアホウドリも診断書を透明なボールにくくりつけるという報道に骸骨の酸い箸が寒い悪魔の行動を重ねゆく大麻をかぶる銅の血管とサイパンの周波数、インスタントな葛藤、荒波に三段重ねに転がるソクラテスの甲板をよじのぼる蹄鉄の呼ぶ声は逆立ちする蚕の内臓のように夜の高まりをゆっくりと通る。街道の眼、作戦の飽和、相談する相手からの滑稽なクロックを解体した跡に泣く半分だけよろけた切断済み宝玉を詳しく内臓までゆっくりと裂けてゆくその時の系譜には逆らえない走馬灯の苦悩ならば勇敢でも雨粒も愚問としてういろうは走馬灯の痛みさえ買うほど肩甲骨とともに教えられた定めにより針と鞭が上空に背面飛びしながら頓挫した骸骨が血しぶきの系譜から夕闇の行灯にけっして買われない舌鼓のようにただただ快楽に飽きたロウソクの指を絡めとった細く硬い箱のように垂涎の魚が草原で歌わない柔らかな土踏まずの養老院の魚のようにドル札をくまなく連呼して蹴り上げながら死ぬであろう。醤油は丁寧に計らわれたならば、剣道六級から飛び石のゴマスリのりんごに加えて鎌首が高飛びした挨拶は朝焼けの白足袋だった。消しゴムは桃色で真珠は瞬いた。傑作の道具箱を復活の剣先でさらさらと浮動するもぐら達のチームで鎮痛剤みたいな哀れな煙に疎開先のプールで昼寝していたでしょう。先生の穴から飴の色、せっかくの怠惰だからようやく狂おうとした少女は、幾たびも幾たびもジャンプした悲しみにスケールの小さい畑のような蕎麦の海を両手で包み、歓声の砂糖に茹でられながら沢山の王様を腹いっぱい抱きしめて、経験にないコルセットのワインをこそこそ重ねられたカザフスタンのおどけた机と岩清水とアイスにパチパチと愛が枠組みを時計にした記述から遊びにいったトルコの嘘しか見えなかったあの菊を噛み、余所者の玄関先でのトラブルにはヤカンから抜け出した校長先生にプレゼントしたいランプにスープ色の時を兼ね、少女はせっかくの刈り上げた轍を滑りおちる音に桜を吸収したベッドが新陳代謝に覆われた棚に計画されたのであるから、ぽんぽんと走り回る戦争の告知は徹底的なコルセットにしか合わせ鏡の向こう側にとってコアラ色だったのに、血しぶきが頷く鏡を無視して貫くと、老いた柊が軽々しく溶けるのだった。
久住哲.icon 2021/1/16
はじまる虻の短い尾にとどまる道に行くなかれと供述の溶けだした溢れだすアフェクションと激流のとまり鍋のような夕日ないし海に映る街のように溶けだす夢想の憂鬱と蛇と凝る秋風は涼しくここちよく永久凍土の美しさから派生する長い糸のように流れだしながらとどまることをしらない愚痴つかずの返信と模造行為に繭を震わせて叫ぶかのような水の音にせいせいとした絡まり髪の女の生きざまからみえてくる七面に派生する喜びと高い波の赤々とした宝石の炎と炭素と結合した虹色の憂鬱に鈴虫のげっぷから色々な花が種をまきちらし夢想する芳香の眠りにとめどなく溢れだす夕日の気まぐれにビルはひび割れながらも毛細血管じみた歌声で凝るにはまだ三ヶ月ほどの猶予を経て空から注ぎこまれた鬼灯の弾ける鼻濁音と着信履歴を横断する無碍の坊主が風当たりのよい言葉で夢想しながら流れゆく耳の奥の草原にあらわれる珍しい隕石の粉塵を挫いて居丈高に泣く湖にいい加減なガスのきらめきにも似た背格好でやぶにらみの多動性戦艦があたりいちめんに解放的ムードを伺わせる様子に白線は屈みながら焼けつく言葉の切断の勇気が生命線の落下に呼吸器障害を放つ移動型の観念的蕎麦に身を切り刻む逸脱の歩行も今日は刺し貫かれると蹴られピストルの足を困る音とそこからの流出をどうしてもとめることができない耳に世間の扉と相槌の高慢は騒々しい花束に差された青のように目敏い反応の女王蜂に欺かれた意志自身の境界と化したペンギンのわななきは阿鼻叫喚の世界とともに転じる側の声色を包む液体にほの暗き癖さえも忌々しく掃除した岬より遠巻きに好かれたインゲン豆のためにと石畳をループさせた結節に足りた寒空の力を夢想した賢者たちの指と指とのあいだの下線と生きざまにこれまでにないほどの夕暮れが落ちて添削しながらの高速回転に悪だくみを押し殺したような捨て身に居心地悪い鍵盤状の電波を込み入った裁きの浅瀬に辛辣から講談のそばに玉手箱の押し売りが忙しく立つ友達もなお苦しく頂きの闡明による告白的訴状いたく順調の底へと進入してゆく廃墟セレモニー獣従者さらばと責め立てるイソロイシンのコマンド側に裂け詳しく咲けば尊い虹色の旋回が更なる皇帝の桃のような欠伸に腕が廃れるような無駄に苦悶と並行した主の想像と降参するまでじっくりと丹田に緑膿菌しか忙しくないような生命のアジトをそばだてる悲しみが世間体の憂鬱を照らしながら語彙の脱字をいつまでも進むようでいて必ずとんでもない婿を紛らわせる胃潰瘍の興奮と存在にインドネシアの投稿による橋渡しの泥鰌が必ず飛んでゆくからまず席をたつ若者のバランスから裁断すべきスープでありいっそ冷ますように設計スープの切れ目から静かに絨毯の毛髪も呻くほど柔らかい肉汁の高慢を夢想する背筋の集合体とそこはかとない禁断検定しか最先端のスープを案ずることは冷まされたスープしか剪定しないと看破した若者のようなおじぎだけでも迎え撃つあの気持ちいい角度の変更と世界関係に色々な想像のなかのガスもやがてがらんどうに砕けて安否も正してランダムな幾度とない見解が天空の生命を騒々しくからかうその音を登壇すべく紐解く若者によりケロイドを噴射しながらカンガルーに種をまきつけて漏らす歌はホテルの廊下に手すりすら考えられない嘘のなかに出されるオウムガイのような海岸でゴミだらけの夢想しか軽んじる峠は雷雲に生まれた毒々しい魂に高まる声の迫力ともう何も思い出せないようにしてあげる無形文化遺産の散財計画と同じく海岸でうずくまる蛇の死骸にむらがる顔のない女の抜け落ちた丸い興奮のような夕日が騒々しい煙のなかに死ぬさなか経験から混合されたモンスターじみた歌がやがてアトランダムな夕焼けに最低の性器から真珠のような裸体の影に切られた肛門の果実に腕を計算してあげた砂漠のそとにトンネルを立てて再来年のコンドームを九十キロメートル先の奥から丹田の吸い寄せられる木漏れ日のような性器に興奮した死体の影に錯乱する先生よりここもまだ散弾銃のくわがたに眠る毛根死罪ではないかと逆らえない石にも似た錯乱物質の精子を粉々に輪をかける興奮の両耳から生命がウジ虫の棚という鍵盤から健やかに育つものもらい関東の宣伝機能と周波数の交錯鑑賞生命無視の独楽回しにも世間の顔ぶれを愛するしかアカデミックなケロイドは天然空白共有ピンハネしか設定条件を行為することが最低の創作になるのだとうどんの鍋に眠る古代の魚のうどんのようにどこにでも裂けてゆく椅子みたいな損害にしみじみと溶けるゴムの内臓のような憂鬱にあなたはどうしてそんなにスープを飲むような顔の肛門を虚しく開けてたゆたう転校生の眼で快感に腕をひしゃげながら夢想する若者の女の寒天に世界腺の埋もれた皮と虐げられた逆立ちの棒と鍵盤のような柄杓を越えて先端にイソロイシンの気まぐれと興奮の主を夢想する健気な恐竜の気持ちを漏らす許しのようなアウグスティヌスの鉛筆をもって夢想する色とりどりの若者のような顔の時計専門の肛門破壊のように生命線を延ばしながら色とりどりの毛髪を喧伝する春なのだろうにそばだてる後ろ姿に皇帝はまっしろなアスファルトを夢想する透明な模型とそれを眺める馬のきらめきの盾と悲しみに独楽を回すゆっくりとした未完成カナブンの快感にしか経験のこだわりをわめきたてる仲人のあさましい鼎談であって献立に眠るカルシウムのように合いの手を噛んだら宣言通りの疎んじてごま流しのような言論の悲しみにもはやスープのカスの恋こそ携帯小説じみた乳母車みたいな簡単なケロイドの恐怖なのでキングも唐揚げの支配もコックの気持ちの理解小説の快楽しか消すことができないようでものもらい小説の合いの手の空手人間であるから宣言通りの興奮しか獣の育ちがもはやトートロジーが出てしまってはもう取り返しがつかないような気がして終りの予感をおぼえる不安からタイピングの手が背中を這いながらぞろぞろと夢想するコラーゲンの確かさを失いつつある戸惑いにもうすぐ最終計画のお供え物があったはずである時の予感に遠出した鯛の怖さを境に消すわけにいかない夜の枕詞からみえてくるマインドを突破するからくりの経験からしらばっくれるような想像と案内にもはや金剛は必ず決済の生まれ故郷が政治有志の複雑な乖離を伴う毛糸の派閥にかぎらずコスモスのぬかるんだ阿片窟の彫像を左方に臨んでたいへんな混乱の浜辺に畳まれた海岸線を大砲の鳴き声と遊覧船の想像力にはじけ飛ぶ姿はただならぬ開始の拷問よりゆっくりと上向きに漸近線のように双方多重領域に挫ける裁判官達が遠吠えを快楽物質の備給に飢えた意地悪な垢の興奮した態度に怯える睡蓮のような警戒心のような雷鳴から投げ捨てるコオロギの想像力に平均台の腰が曲がるコラムにいただけない闡明を希釈してもらい結論に散弾銃を溶かして撫でたアスファルトの臭いより立ちすくむ茶色の拷問を苦心して食べようと寛大な潤いによる挙動不審の鬱蒼とした砂漠を横切るイタチに似た肝臓を巻きつけて夢想する羊たちの涙を噛んできた嘘くさい夕暮れの御不浄寄りのスナックのベンチに頭が外れるほどの丸みをおびたチョコレートに似た色彩感覚を持ったパロディ映画の演出家じみた崇高なるマイヌングを読破する若者には意外な充実した午後を揃えていたらしい。
久住哲.icon 2022/8/24
森。
巨大な石畳が、蟻のような祖穀の眼前に滝のようにせり上がっている。
祖穀は岩壁を歩み、喪服鳥を呼ぶために、まるで雌しべから魂を零すようなトーンで歌声を旋回させた。
歌は紫色になじみゆき、じめじめとした腐葉土をバウンドし、リスのように小走りに走りゆき、喪服鳥の穴ぐらに這いより、目玉を回転させる。
じゅらあ……と彷彿と、幕の煙はきわめて芳醇に、見上げれば封された蛇腹の連綿が、ふきすさぶ月を転がして笑っているような様相。
爛々と赤まるものが頭上に羽を開き、祖穀は呑まれた。
そのとき、蛍光石は斬るように獣道を揺るがせつつ走っていた。
興奮の千里、蠅の夕と昔の人が云ったような脊髄の立ち昇りように、砂嵐に撒かれてランダムな寸法の暗がりを滔々と吐き出して、蛍光石は釣りをすることにした。
グエル紀に蒐集された錆び錠を虚のうちより拾いあげる指は、焼き魚の叫びのように亡骸を誇っている。