カミュの思想のキーワードは「不条理への反抗」
2022/5/18
生きるとは不条理を生かすことだ。不条理を生かすとは、何よりもまず不条理を見つめることだ。エウリュディーケとは逆に、不条理は人がそこから眼をそむけるときにのみ死ぬ。こうして、筋道のとおった数すくない哲学的姿勢のひとつは反抗である。反抗とは、人間と人間固有の暗黒との普段の対決だ。(中略) この反抗とは、圧倒的にのしかかってくる運命の確信ーーただしふつうならそれに伴う諦めを切りすてた確信ーーそれ以外の何ものでもない。
(中略)
こうした反抗が生を価値あるものたらしめる。反抗がひとりの人間の全生涯につらぬかれたとき、はじめてその生涯に偉大という形容が冠せられるのだ。偏見のない人間にとっては、知力が自分の力をはるかに超える現実と格闘している姿ほどすばらしい光景はない。人間の倨傲を示す光景は比類のないものだ。いかに貶そうとその価値を減ずることはできないだろう。精神がみずからに命じるあの旋律、すみずみまで鍛えあげられたあの意志、あの毅然と向きあってたじろがぬ姿勢、それらには力強い独特な何ものかがある。(中略)
意識的であり続け、反抗をつらぬくーーこうした拒否は自己放棄とは正反対のものだ。人間の心の中の不撓不屈で熱情的なもののすべてが、拒否をかきたてて人生に刃向かわせるのだ。重要なのは和解することなく死ぬことであり、すすんで死ぬことではない。自殺とは認識の不足である。不条理な人間のなしうることは、いっさいを汲みつくし、そして自己を汲みつくす、ただそれだけだ。
カミュの思想のキーワードは「不条理への反抗」(自殺は不条理の肯定のためカミュは否定)。不条理な生の中で抗い続けることをカミュは勧めている。今なら前よりもこれの意味が分かる。また挑戦してみようかな。
カミュの思想はカッコいい。岡本太郎のエッセイを読んでいるよう。