【読解】超越論的な原理論の第14項
【読解】超越論的な原理論の第14項
〈対象が表象の可能性を作り出す〉か〈表象が対象の可能性を作り出すか〉の二者択一
前者の場合、対象と表象の関係は【経験的】である
カントがこの場合があることを否定していないというところに注意が必要だ。
例えば、この世に象が存在しなければ、象の表象は不可能なものになる。
アプリオリな関係があるとすれば、それは後者の場合のみである
「対象の概念」という言葉が出てくる
これは、〈そもそも経験を可能にするもの〉として想定されている
... so ist doch die Vorstellung in Ansehung des Gegenstandes alsdenn a priori bestimmend, wenn durch sie allein es möglich ist, etwas a l s e i n e n G e g e n s t a n d z u e r k e n n e n . (S. 172)
だとすると、[そこにすでに存在している]対象を、[人間が]像によって対象として認識することができると考えるしかないのである。その場合には、像は対象を〈アプリオリに規定する〉と言うことができる。
光文社古典新訳文庫2p105
……しかし表象だけで何か或るものを対象として認識することが可能であれば、表象は対象を規定することになる。
岩波文庫上巻p169
「a priori」が訳されていない。
どちらの訳者も「in Ansehung des Gegenstandes」を直接目的語かのように訳している。
では「認識」とは何だろうか?
知性とは一般的には、認識するための能力である。認識するということは、与えられた像と客体のあいだに特定の関係を作りだすことである。ところで客体とは、与えられた直観のうちに含まれる多様なものが、その客体の概念において結合されたもののことである。
S. 181(2p125)
「対象が私たちに与えられる前にその対象について何かをア・プリオリに確定する」ようなアプリオリな認識は可能なのか。可能だとしたらどのようなものなのか。