『自省録』
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最後の五賢帝であるマルクス・アウレリウスは、ローマ皇帝としての多忙な職務のかたわら哲学的な思索を好み、後期ストア派を代表する哲人でもあった。本書はその思想を直接知ることのできる、彼の唯一の著書である。 (中略)
構成としては12巻に一応分かれているが、その巻を区分したのもマルクス自身だったかも定かではなく、また一つの書物として整理された構成でもない。これは本書が著者の内省のために書かれ、本人以外の者が読むことを想定していないことに由来し、故に内容の要約は難しい。
第一巻のみは他巻とは明らかに異なり、自分への語りかけではなく神々や自分の周囲の人々への感謝を記したものとなっている。故にこの巻は最後に書かれ、本来は最終巻に配置される予定であったという説もある。
引用にもあるように、マルクス・アウレリウスが自分に向けて書いている。「君」という呼びかけがよく出てくるが、これも自分に向けての呼びかけなのだろう。
またマルクス・アウレリウスはプラトンの時代から学識者にとって理想とされた「哲人皇帝」の実現例と見なされている(岩波文庫の訳者序)。