『唯識二十論』
世親
著
ゆいしきにじゅうろん - WikiDharma
『唯識二十論』は、仏教以外の学派や部派仏教や他の大乗仏教の立場から、
唯識
説に対する
批判や疑問に答える形
で、唯識説を明らかにしている。そのため、直接的に唯識説を体系付けて説明している
『唯識三十頌』
とは構成が異なっていることに注意しなくてはならない。
唯識説の根本は「
諸法
(すべての存在現象)は
識
にほかならない」という説である。しかし、世親は阿頼耶識も含めて、「
識は非識を自性となす
」(識の本質は無である)としている。つまり、
識を実在と考えず、実在(境)は識を超えたものであるとみている
。これを説明するために、本論では
夢
の喩えを使って説明するが、修行者(
瑜伽行
者)が誤まった実在の観念を破るためにはふさわしいが、「
識は非識
」であることに注意していないと、
観念論
に陥ってしまう。
この意味で、
護法
(dharmapaala)の
『成唯識論』
の立場とは大きく趣きを異にしている。