『内面世界に映る歴史』
1986年刊
オビ文
この二十数年間にわたって執筆されたゲーテを中心とするドイツ文学論集。『ファウスト』や『親和力』などの作品の内実と歴史状況の関わりに光を当てる刺激溢れる一冊。 内容
序論 変動期のドイツ文学
1759年から1832年まで
第Ⅰ部 旧秩序の内的崩壊と理性の試み
1770年まで
第一章 表現できないことを表現する言葉
レッシング『ラオコーン』の意味と限界
第二章 歴史の転回と文学的営為
『エミーリア・ガロッティ』試論
【補遺】 イェルーザレムをめぐって
第Ⅱ部 全的変動の予感
1770年から1789年まで
第三章 「行為」とメフィストーフェレスの出現
『ファウスト第Ⅰ部』「書斎の場Ⅰ」をめぐって
【補遺】 魔術としての工学
第四章 グレートヒェンは何故歌うか
個人史・歴史・人類史
第五章 『ファウスト』翻訳上の小問題
【補遺】 居間のなかの放縦な夢――C・H・シュピース『侏儒ペーター』
第六章 ゲーテにおける『ヴェルテルの位置』
初稿から第Ⅱ稿へ
第七章 内面世界に映る歴史
『タウリスのイフィゲーニエ』試論
第Ⅲ部 流動する世界のなかで
1790年から1806年まで
第八章 18世紀ドイツ文学における宗教の位置
ノヴァーリスとゲーテの場合
第九章 神々のエゴイズムと魂の空間
『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』試論
【補遺】不確かな道――ゲーテ『芸術作品の本当らしさと真実性』
第十章 『大コフタ』あるいは古典的調和の終り
第十一章 ノヴァーリス『夜の賛歌』覚書
第十二章 ノヴァーリスの「夜」と政治思想
【補遺】 予感と無限遠点――ノヴァーリスのアフォリズム
第Ⅳ部 秩序と自然
1807年から1832年まで
第十三章 ゲーテにおける「アメリカ」
【補遺】ゲーテと地中海世界
第十四章 『親和力』研究
西欧近代の人間像の追求とその崩壊の認識
【補遺】 マインツでの二晩
第十五章 思考実験空間と宇宙の調和
『ヴィルヘルム・マイスターの遍歴時代』試論
第十六章 共同性と沈黙
ゲーテの二重性
《附論》
第一章 日本における西欧文学研究についての一考察
『親和力』研究への序論
第二章 研究と感動
第三章 翻訳再考
『ファウスト第Ⅰ部』新訳を終えて
第四章