『ドイツ・ロマン主義における芸術批評の概念』
カント、後期ヘルダーリン、晩年期ゲーテという状況配置の中心に初期ロマン主義をとらえ、フリードリヒ・シュレーゲルとノヴァーリスの神秘的術語群からなる「ポエジー」言語の森に、ドイツ・ロマン主義の「芸術批評」概念がはらむ形而上学的思考の地図を描き出す。「主観‐客観」構造を排した「絶対的形式」は可能か?言語はいかにして「同一性」を実現あるいは回復しうるのか?―従来のロマン主義理解を根底から覆す『ドイツ・ロマン主義における芸術批評の概念』に、ヘルダーリン論、カント批判論ほかを加えて、初期ベンヤミンの思想世界を呈示するとともに、シュレーゲル「ゲーテの『マイスター』について」をも併録した、文庫版新訳。 内容
ドイツ・ロマン主義における芸術批評の概念
序論
Ⅰ 問題設定上の諸限定
Ⅱ 原資料
第一部 反省
Ⅰ フィヒテにおける反省と定立
直接的人席―定立作用の限定―反省の限定
Ⅱ 初期ロマン主義者たちにおける反省の意味
反省の三つの段階―知的直観―反省媒質―芸術
Ⅲ 体系と概念
絶対的体系―神秘的術語―機知―批評という名辞
Ⅳ 初期ロマン主義の自然認識の理論
自己認識―対象認識の根本命題
第二部 芸術批評
Ⅰ 初期ロマン主義の芸術認識の理論
反省媒質としての芸術―批評―作品の自律性
Ⅱ 芸術作品
芸術作品の形式―内在的批評―素材に関わるイロニーと形式に関わるイロニー
Ⅲ 芸術という理念
諸形式の統一と諸作品の統一―累進的普遍ポエジー―超越論的ポエジー―ロマーン―プローザ―冷徹さ―批評
初期ロマン主義の芸術理論とゲーテ
理念と理想―ムーサ的なもの―絶対的作品―古典古代―様式―批評
〈付〉参考資料Ⅰ ベンヤミンの関連論考
同一性の問題についての諸テーゼ
知覚について
来たるべき哲学のプログラムについて
〈ある事象を科学的に記述するには、その前提として、この事象の説明を必要とする〉ということの証明の試み
〈付〉参考資料Ⅱ Fr・シュレーゲルのゲーテ批評