Fireworks
短編
邦題は『花火』
別に露骨な表現はないのだが、閲覧注意と書いておこう https://youtu.be/MLDQ59wbQuY
ばる.iconアンガーが17歳の時に自ら監督・撮影・編集・主演を兼ね完成させた。ハリウッドにあるアンガーの祖母の家で、家族が出かけている間に撮影されたという可愛らしいエピソードがある。撮影助手は写真家のチェスター・ケスラーが担当し、音楽はイタリア人作曲家レスピーギのレコードを使用している。
主役で三島由紀夫みたいなアンガーが、ベッドでもっこり(彫像的暗喩)させたり、水兵に憧れたり水兵にボコられたりなんかかけられたりあそこが花火になったりするのだが、露骨な表現はない(ないよな!?)。 当時のアメリカの映画は、ヘイズ・コードがあったので、アンガーはすべての性表現を暗喩的に描いているが、それでもわいせつ容疑で逮捕された。事件はカリフォルニア州最高裁判所に持ち込まれたが、裁判所はポルノではなく芸術であると見なし、彼は無罪となった。アンガーは規制もあって暗喩的表現を用いたのだと思うが、それが逆に面白い効果を出しているのではないかと思う。この様々な象徴を駆使してくるやり口は、アンガーの手法として固定化され、アンガー映画の特徴となっている。 この映画作品は、おそらくアメリカではじめて「ゲイの美学」を全面に押し出した作品である。同性愛者でマゾヒストであるアンガーは、自身の欲望であるホモセクシャルとSMの世界を象徴的に、セクシーに描き出した。なので、アンガーは「アメリカで最初の公然と同性愛者の映画製作者の1人であり、その作品が偽装されていない、自己暗示的な方法で同性愛に取り組んだ最初の人物」であると言われている(もちろんそれまでもゲイの映像作家はいたけれども、ゲイ文化を目に見えるような形で表現したはじめての映像作家ということだ)。