自らの思想によって自らを縛りつける西欧人
※以下は自分の考えではなく、読書メモ
コンフラン=サントノリーヌのテロ事件が示すような「文明の衝突」は、文明の異なる国同士の断層線に生じる紛争だけではなく、一つの国の中に、それぞれに相容れない価値基準や規範体系を内包している文明が入り込み、密接な距離感の下に奇妙な同居関係を形成してしまったことに端を発している。 現在の私たちの眼前に広がっている衝突は、ひとつの国の市民社会の中に、小さな断層線が無数に生じてしまったからこそ起こったものだ。
しかしなぜ一国の中で価値体系の異なる文明が入り混じる事態となったのだろうか。
また異なる宗教、異なる道徳、異なる価値観の人々が、お互いの領分を侵さずに共生していくことは、イスラム教の根本的な考え方とは相容れない。イスラム教では、すべての人がイスラム教徒として平和な世界を迎えることを最善としている。 そして西欧文明の価値観や規範体系とは相容れない人びとに対して、相容れないままでいることを許容し、それらの便益のみを提供するという奇妙な状況を、「グローバル・ジャスティス」「ポリティカル・コレクトネス」などという美名のもとで肯定してきた結果として、いま私たちの眼前に現れているものは、決して「多文化共生」「多様性」の調和した美しい世界ではなどではなく、文明の衝突が繰り返される殺伐とした世界である。