実存分析
《夜と霧》で知られるオーストリアの精神医学者フランクルが第二次大戦後にとなえた学説。人間存在の基盤としての責任性と倫理性に着目しながら,人生の意味と価値を分析していくところに本質があり,その治療理念としてロゴテラピーLogotherapieが生まれた。S.フロイトの〈快楽への意志〉とA.アドラーの〈力への意志〉に対して〈意味への意志〉を鍵概念として主張し,これが満たされない場合には,精神因性神経症noogene Neuroseという名の,実存的危機や良心との葛藤が生ずると説く。 ロゴセラピーとも呼ばれる。
ロゴセラピーは「生きる意味」の発見を専門とする心理療法である。
特徴としては、生きることに絶望しきった人間が、自らの「生きる意味」を再発見することを援助することにある。
実存分析は、現代的哲学のこの開拓者に対して負うているところが少なくないのに対し、他方ではサルトルの実存主義とは殆ど関係がないのである。ロゴセラピーおよび実存分析が一九三八年に学術出版の形で既にとっくに具体的形態をとっていたのに対して、サルトルの最初の作品は四〇年代になって初めて現れたものである」──『フランクル著作集4 神経症Ⅰ』
と、サルトルとの間にあまり関係のないことを強調している。