インスティテューショナル・クリティーク
ミニマリズムやランド・アートの作家は、美術館やギャラリーという場が包含する可能性や限界について作品を通して問いかけました。そのため、これらの潮流は一九六〇年代以降に顕在化される「インスティテューショナル・クリティーク」(制度批判)の一角をなしていました。これは美術にまつわる諸制度の意義や役割を批判的に問う実践を意味する用語です。 (中略)
インスティテューショナル・クリティークは、美術界を取り囲む諸制度の問題点を明らかにし、芸術をより民主的なものに変えていくことを目的としました。それは芸術上の潮流というより、領域横断的な作家たちの問題意識としてありました。(山本浩貴『現代美術史 欧米、日本、トランスナショナル』)
美術制度は芸術生産を支え、アーティストをはじめとする多くの人々に様々な恩恵をもたらしてきた。
しかしそれは一方で、芸術活動の自由度を狭め、万人に開かれているべき美術作品を限られた人々の占有物にする危険を伴っている。
コンセプチュアル・アートは作品の形式より内容に強調点を置く二〇世紀美術最大の潮流で、その潮流の中では作品の物質性(色・かたち・素材)以上に思想性(提起される問いや扱われるテーマなど)が重視される。