9322_片手で持ち上がる、アクセシブルな跳ね上げ式トイレ台
洗面台も一緒になっている 2帖のトイレを、便器に車いすで横付けができ、お座敷トイレとしても利用できる、アクセシブルな「跳ね上げ式トイレ台」です。便器を取り巻くようにトイレ台を作り、欠き込みがある跳ね上げ板が、魔法のように軽く跳ね上がるのです。トイレ台というよりは、特注のソファーを製作するつもりで、丁寧に考え造りました。
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洗面室を兼ねたトイレには、寝室から出入りします。広くはないのですが、車いすで住みやすい間取りの賃貸マンションです。
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賃貸マンションの住宅改修は、将来の退去時の現状復帰を想定しておきます。既存の便器を利用して、移乗台を設置することになりました。日々使っていく中で、このトイレ台を置くだけでは動いてしまうので、床や壁には最低限のビス固定をしました。
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住まいてさんの車いすの座面高さは 50cmです。既存の便器の便座高さは 41cmでしたので、車いすの座面高さと合わせるよう、かさ上げしました。「既存便器 → 補高便座 → ウオシュレット → やわらか便座」と重ね、49cmとなりました。
・便座を外した時の便器の高さ:37cm
・「補高便座」でかさ上げ:5cm
・「ウオシュレット」の厚み:4cm
・「やわらか便座」の厚み:3cm
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お座敷トイレとして利用する時は、欠き込みのある跳ね上げ板を下げます。便座に腰掛けた状態で、両足を伸ばせる長さがあります。トイレ台の幅は最低限に抑え、洗面台前の回転スペースを広く残しました。
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トイレ台の表面は、汚れが染み込みにくく水拭きがしやすい、ビニールレザー貼りにしました。中にはクッションを入れて柔らかくしました。ソファーのように柔らかいと、かかとが沈み移動しにくくなるので、硬めのクッションを選びました。靴下を履くと、かかとが滑りやすいそうです。
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腰掛けてみるとそソファーよりもずいぶん硬めな座り心地です。床からの高さは 49cmです。車いすのフレームの合わせた欠き込みを作り、トイレ台の厚みとなる部分にもクッションを入れました。欠き込みの幅は 10cm、深さは 12cmです。
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既存の便器をそのまま利用していますが、ウォシュレットを取り付けました。便器の洗浄は、タンク脇のレバーだけでなく、手元のリモコンからでもできます。やわらか便座は楕円形のリング状ですが、先端をV字型に欠き込みました。
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跳ね上げ板の重さは 8.5kgになりましたが、魔法のように軽く跳ね上がります。このように跳ね上げている状態が多いので、裏面の見え方も大切にしました。
この跳ね上げ板が一番の難関でした。強度があって反らないよう 3種類の板を貼り合わせ、丁番や金物の取り付けは、1mm単位での調整が必要でした。
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跳ね上げ板を跳ね上げると、便器に車いすで横付けができます。便器脇のトイレ台に車いすのリムがぶつからないよう、トイレの先端よりも 10cmずらしたので、右膝を便器にぴったりと付けることができます。
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寝室と洗面室を間仕切る建具は、3枚引き戸なので開口幅を広く、普段は右側から出入りしますが、
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反対側を開けると、トイレ台を手前の寝室側に引き出し、便器周りを掃除できます。
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移乗台の向かい側は、ユニットバスになっています。ユニットバスも入浴台でかさ上げしました。