記号と構築
人間の文化における構築
建築においてなぜ記号が問題なのか
建築とは人間による空間の構築
=文化にとっての基本的な次元をなすもの。
構成要素(柱、梁、屋根、壁など)から成り立ち、それらの要素は文化と歴史に応じて形式化されている
構造がそもそも建築用語である
構造=重力の力を関係性の形式に変換する原理
=人間の文化における<構築>という営為の基本にある
空間の中の<ここ>は他の場所とつねに分節化されている
構築=いかに重力と均衡をとるか(土木技術の問題・自然の支配=統御の問題)
+関係性の形式によって生み出される場=記号と意味の問題
自然/文化 という分節は、建物からはじまる
文化がなければ自然という概念は生まれない。自然⇔文化という図式があってはじめて「自然」が切り取られる環境やエコロジーとは、自然を考えることではない。どちらかといえば、文化のあり方の問題
ヘーゲルのピラミッド
ピラミッドは、地下部分と地上部分から成る建築
=自然の部分に場所を作る→自立した文化空間を作る 移行を示すもの
地下=象形文字に覆われた迷路・地下神殿=大地に穿たれた穴(非構築的)
地上=正四角錐の形をした隆起部分=重力に逆らって築かれた構造物
象形文字は自然と対応した記号なのに対し、
地上部分の正四角錐は自然との結びつきのない自己体系化した恣意的な記号
このように、建築によって空間が自然と切り離されて構築された時、文化がはじまる。
空間が自己関係化されるにともない、時間も均質化され、形式化をうける。
さらにピラミッドは自然的な死に抗う人間の魂の記号でもある。
魂を構築物の内側に保持しつづける意味を持つ
記号による構築によって、人はその空間における任意の場所を占めて、自由な―恣意的な―活動を行うことができるようになる。建築とは、その意味で、自然の時間と空間を文化の意味作用に変える役割を果たす記号装置と言えるのです。
建築の言語
正四角錐という幾何学的な構造は自然から独立した文化のはじまり
もともとgeo(大地) metry(測量)からなる
語源「尺度による大地の測量」
大地の分節化
かたち、空間の理解
技術による自然の支配=統御
のための知
重力=自然の力に対抗し、均衡を作り出すことで構築は始まる
建築の基本特徴(隈研吾)
かたちの概念の出現
柱によって経験されるような垂直性とその対としての水平面の概念の成立
「構築は構造を表現しようとする」
→ピラミッドでみてきた意味空間の構築のプロセスと一致する