メンタリングの基本
from マネジメントの基本
#メンタリング
上段設計
前提にある概念
会社の組織規範・行動規範
チームのMission/Culture
チームの組織戦略/事業戦略
チームのIssue/Role
メンタリングのMission
メンティの幸福・成熟と組織の成果を両立させる
両立の実現ができなかったら全てメンターのせい。その上でメンティが自責で考えられるようにする
メンタリングのIssue
A. メンティが組織に馴染み、メンティと他のメンバーが相互に理解・協力・支援できる関係を作る
B. メンティが業務に馴染み、チームの理想や目的の達成へ向けて自走できるようにする
C. ABを通して、メンティがミッション達成に貢献し、自己実現と価値創出を両立できる状態で所属できるようにする
メンタリングにおけるアクション
⓪ 関係構築
メンティとのあらゆるコミュニケーションは、メンティ⇄メンターの適切な関係性があって初めて成立する
そのためメンターには、メンティの信頼・信用を獲得できるだけの自己開示や情報提供などの貢献が求められる
e.g. コミュニケーション時間の確保、弱みの開示、予定と背景の共有(「誤りは認める」など人間の基本動作も含む)
① エンパワメント
メンティのスキル・マインド・ナレッジやその手前のスタンスを組織で必要なレベルに引き上げる
狭義での『成長支援』はここにあたる。メンティに求めるレベルを越えられるよう働きかける動き
cf. ティーチングとコーチングとカウンセリングを使い分ける
実力値やポテンシャルがメンティのいる環境で発揮しきれるよう、本人や環境に働きかける
チームの理想や組織文化に合わせてFB/FFするとか、関係者とのコミュニケーションラインへ組み込むとか
e.g. 成長ロードマップ策定・必要スキル定義・獲得ハンズオン、疑問解消に必要な関係者の紹介
② アサインメント
メンティが長期で自己実現と価値創出を両立できるようにするための機会を調達して割り当てる
成長に繋がるようなストレッチな機会や、本人適性にあった業務特性の機会など、場面に応じて選定基準を変える
Willに一致しないがMustの業務など、短期的にはトレードオフが生まれることもあるため、調整が必要
長期での期待値すり合わせや信頼・信用による貯金の切り崩しなどで対応することも
e.g. メンティの成長に合わせた機会の創り出し/切り出し、アサイン背景のすり合わせ
③ アラインメント
異なる目的を持つチームでの協働だったり、獲得してきた経験・知見が異なっていたりすると、利害が対立しやすい
本来は対立しないことも多い利害が表層で食い違うことにより、合意形成に手前がかかり、価値創出の妨げになる
cf. The Human Element 魅力的な提案が受け入れられない4つの理由
利害対立による機会損失を防ぐため、あらかじめ障壁を取り除いたり妥協点を探ったりしておく
メンティの関係者と期待値をすり合わせておくとか、懸念を持ちうる相手を予測して異論を収集・対処しておくとか
e.g. キャリアロードマップのすり合わせ、期待成長の洗い出し・修正、アサインしたPJTのリスクヘッジ
メンタリングにおけるポイント
観察
表層的な要望そのものではなく、相手の言動を観察し、対話を重ねて特性を把握し、本当に必要なものを見極める
cf. 相手がいる場所から始める
個別化
そのタイミング × 場面 × 関係性に必要なメンタリングを行う。「前に/他の人でうまくいった」かどうかは関係ない
cf. 半歩先を進む
真摯な質問
裏表のない創造的な対話が相手の自律性を引き出す。その上で誘導的な質問を避け真摯な質問の比率を高める
cf. 「真摯な質問」のコツを知って誘導質問しない信頼できるマネージャーになる - yigarashiのブログ
基本的な方法論と原理原則
思考のリファクタリングを通して同じ土俵に立つ
思考が間違っているのではなく状況と適合していないだけ
思考を可視化して、必要なら前提や観点を補い、ブレーキをなくして方針を定める
① 無駄なブレーキをなくす
発見・探索・推進を妨げるもの(e.g. バイアス、能力、認知、知識)を知覚し、問題を捉え、解消する
cf. 振り返りの目的は3つしかない
要求定義を通して明確に依頼する
『隠されたメンターの要求を言い当てるゲーム』にさせない。WhyとGoalを明確に定義した上でメンティに依頼する
Why(なぜやるか?)の設定により、本当に「いま」「その問題を」「その課題を解いて」解決すべきか判断できる
Goal(何をもって達成とするか?)の設定により、「何を優先して」「どの状態に」すれば良いのか判断できる
cf. 要求定義の基本
メンティの習熟度を見つつ、必要に応じてアウトプットイメージを作って見せる
「自由に考えてみて」は責任放棄。プロセスの一部は切り出し、成果と品質には責任を持つ。切り出す割合は人による
失敗リスクが低く、メンティの可塑性が高く、ちゃぶ台返しへの信頼毀損リスクを許容できる場合は不要
cf. 世界基準の上司
依頼内容をチューニングする
一気にジャンプするか、徐々にステップアップするか、はサポート工数 × 業務相性 × メンター相性で決まる
サポートできるほど、内容が得意/好きなほど、メンターの介入効果が高いほどストレッチできる
※ サポートはメンティ目線だけでなく、いかに無駄な障壁を除けるか、の裏方的サポートも含める
FB/FFの適用タイミングをチューニングする
その場で行動ベースで伝える『即時FB/FF』と、今後に備えてフックにしておく『記憶FB/FF』を使い分ける
前者はシンプルですぐ反映できる試合中のような声かけ、後者は覚えてもらい後で反芻できる小説のような声かけ
1人でメンタリングを考えない
メンター単体から見えている観点は限定される上に、見える特性は関係性にも依存するため、観点を集める
業務遂行上の疑問解消など具体ベースでのサポートをチューターに切り出すのも有効。権限移譲の一歩目にもなる
関連資料
オンボーディングの基本
メンタリング 目的別参考資料