浅田次郎著「壬生義士伝」感想
https://gyazo.com/0d49e757e5ff7159e35666f6e41e536c
上下巻なのでとっても長い時間がかかった。
この話は、進め方がとても入り組んでいて、吉村貫一郎本人の語りも入るが、それ以上に吉村貫一郎がどんな人物であったか聴き取りをしていくことがそのー大半を占める。この聴き取り時期が日露戦争をする直前のあたりで、幕末や戊辰戦争を知る人年月が経って生き残りがいなくなっている時期にそれぞれの関係者に吉村貫一郎のことを聞き取りしている様子がとにかく物語の構造として素晴らしい。日露戦争前後の「今」と過去である幕末とを比較しながら話していくことで物語にとっても厚みを増している。 この本を読んでいく中で、この作品を原本とした「映画」があったなと思い出した。映画ではどうやった作り方をしているのだろうと思った。映画を作る段階で、小説の構造を無視して時系列で普通に新撰組の栄華盛衰を語っているとしたら、まぁ東北人から見た新撰組であり、幕末という興味深い視点はありながらも価値は下がるなぁと思っていた。さて映画はどうだったろうか。 いろいろと書きたいことがあるが、ネット上でどんどんネタバラシをしてしまってはどうしようもないので、そろそろ終わりにしておくが、家族という「義」のために生き尽くした吉村貫一郎、とってもかっこいい。 いかに死ぬかではなくいかに生きるか
潔く死ぬではなく、潔く生きる
ちゃんと生きているんだろうか、自分。
追伸
小説の中であまりにも盛岡のことを魅力的に語っているので、今年度、ゴールデンウィークに少しだけ立ち寄ったものの盛岡はじっくりと訪れたことがない。この小説をきっかけにゆったりと盛岡の史跡を中心に訪ねてみたいと思った。