大学院ゼミ〜「ストップモーション方式」による「目標と学習と評価の一体化をもとにした『学び合い』授業」の共有化〜
本日(2021/05/12)の大学院ゼミは,今年度阿部ゼミに入った学生中心に,「目標と学習と評価の一体化をもとにした『学び合い』授業」を自分なりに解釈し,イメージできるようにするということであった。 ゼミ長中心に,効率的に効果的に,質の高い学びをしていこうということを意識していて,ゼミ所属が決まり,本格的なゼミでの学びが始まってまだ2回めだけれど,ずいぶんといい感じの学びの時間になっているように思う(……わたしだけの感覚かもしれない……,各学生が本当にそう思っているかどうかはわからないけれど)。
第一に反転学習(的)になっているのがいい
前のゼミの終わり近くにわたしが30分程度,講義というか情報を提供することになっている。前回は「目標と学習と評価の一体化をもとにした『学び合い』」であり,本日は「信頼ベースの学級ファシリテーションの基本的な背景」であった。
そして,次週のゼミまでにちょっとした課題が出る。例えば,前回はうちのゼミで保管している「目標と学習と評価の一体化をもとにした『学び合い』授業映像」を事前に見ておくことであった(ちなみに,授業映像等はわたしがYoutubeに限定公開しておき,それを今年度から利用するようになったゼミ共有のScrapboxに貼り付けておく。そうすれば,ゼミ生は簡単に授業映像を見ることができる)。
で,本日のゼミでは,再度,プロジェクタで宿題にしていた授業映像をみんなで見ながら「ストップモーション方式」の授業検討会を行うという形で進めた。
いかに「効率的」「効果的」に「各学習者に実感の伴う学びの場」を提供するか
学びを効率的に,でも,表層的ではなく,各自の実りあるものにするかというのはとてもとても大きな課題と思う。しかし,少なくとも今回の学びは「短時間でありながら」「効率的に」「本質をそれなりにつかみながら」「イメージできた」のではないだろうか。それも,各自の経験や学びの状態から引き寄せる形で。
この「各自の経験や学びの状態から引き寄せる形」というのがとても大切で,情報を伝達する側,たとえば,今回で言えば,「わたし」がきれいな言葉で学生たちに伝えることはできるかもしれない。しかし,それはそのまま暗記,または記録される「言葉」だけであって,各自が腑に落ちるものにはならないだろう。つまり,それがわたしのいう「きれいな言葉」での解釈。
でも,ストップモーション方式を通して学んでいく姿は,わたしが語る言葉ではなく,学生がこだわる時間と場面でのやりとりである。もしかしたら,伝達するがわからしたら,「ここにこだわってほしい」「ここを見てほしい」というところを軽くスルーされて「え?なんでここ?」というところで「ストップ」をかける学生がいるかもしれない。でも,それが当事者(学生)のリアルであり,「今,ここ」なのである。本日,伝達する側(例えば,わたし)が「ここにこだわってほしい」「ここを見てほしい」をスルーされてしまっても,かまわない。だって,阿部ゼミ生だけが見られるYoutubeにアップしてあるのだからいつでも見返せる。数ヶ月後,見返してもらってそのときにまた別の気付きがあればいい。今日,このときにストップしたかったのは「今,ここ」なのである。
学習者のうちから沸き起きた,素朴な疑問から始めよう(ゼミでのエピソード)
例えば,ワークシートをわたして「名前を書いてくださいね」と授業者が促す場面にて,挙手した学生がいて,「教育実習にて,なかなか名前を書いてくれない子どもがいた。どうすればいいのだろう」ということを語ってくれた。
とてもうれしくて,「こういう感じにどんどん出していってね」と伝えた。
第一に,大学院ゼミ2回目で,まだまだゼミ生同士のコミュニケーションが不足している。つまり,まだまだ互いに仲が良いという状態までなっていない。今年度はM1が10人になり,M2,M3合わせて15名の大所帯のゼミでの進行である。全体の前で話すにはなかなか緊張する。だから,このようななにげない投げかけをしてくれた学生をとてもとても貴重に思った。「それでいいんだよ。こういうことをどんどん話していってね」と。
第二に,「目標と学習と評価の一体化」も大切だけれども,「そもそも〜」のところも確認し,共有できる場としたい。案外,そういう毎日行う行為,毎日指示する行為,については特段触れないことが多いのではないだろうか。しかし,この(今回のゼミの話題で言えば)配布したワークシートに名前を書いてもらうという流れを教師としてどのように考えて,どのように指示して,子どもたちの活動をどのように見取るのか,このあたりって授業運営,もしくは,学級経営の大切な視点になっているのではないかと思う。
第三に,とかくテーマが「目標と学習と評価の一体化をもとにした『学び合い』」の理解なので,それに合わせて高尚な質問や発言をしなければならないと思う学生がいるかもしれない。もちろん,そういうものでもその学生がそれが身近,つまり「今,ここ」であるのならそれでいいのだけれど,とにかく,その学生の「今,ここ」の発言をみんなの前でしてほしいと思った。今年度の阿部ゼミは現職院生が少なく,現場の様子があまりわからない学生が多いので,そういった「現場の様子を確かめるような発言」もこの時期にたくさんしてもらえるとうれしいと感じた。
なんか,いい感じだった。
「ストップモーション方式」の授業検討会は,改めて今の時代にフィットしているというか,学習者主体の(学習者が実感しやすい,学習者が必要としていることを得やすい)授業検討会であると感じた。
今回のゼミの内容については,いつもどおり,学生が考えたものだったが,なかなかナイスだったと思う。