ストップモーション方式
今回,この解説のために,改めて本を買い直した。
https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51R4yK8G9uL._SX351_BO1,204,203,200_.jpg
ここに一本のビデオテープがある。一時間分(45分)の授業を録画したものである。
これを再生・視聴する。
ただし,ずっと通して見るのではない。しばしば画面を一時停止させる(ストップモーション)。一時停止させておいて何をするのか。
解説者(コメンテーター)(藤岡)が,授業の背景説明をする。
教師の発問や指示の意味を説明する。
教材の特質を検討する。
子どもの発言や行動の意味を解明する。
授業の組みたてを分析し,評価し,批判する。
教師が発問しようとする,まさにその瞬間に,ストップモーションをかけ,どんな発問をするか,すべきか参加者に問う。子どもの反応についても同様にしてもらう。
そればかりではない。
授業の流れに身を浸す気分でビデオを見ていると,必ず自分の経験にてらしてひとこと言いたいことが出てくるはずである。そんな時,遠慮なく,
「ストップ!」
と声をかけていただく。そして,発言していただく。
質問,疑問,思いつき,批判,代案,分析,等々何でも結構である。どんどん出していただきたい。
参加者間の論争も歓迎する。
活発な発言で楽しい研究会にしたい。
簡単そうで,かつ,めちゃくちゃ学びが多そうでしょ?
で,この本では従来のビデオ研究会に比べて主要な良いところを3つ書いている。
議論が授業の事実に即してなされる(実証性のメリット)
問題を共有し定式化できる(生産性のメリット)
誰でも口出しできる(平等参加のメリット)
で,この本は1991年の本である。
VHSテープを駆使して,いろいろとやっていた時代である。
それから考えたら,今は,動画をめちゃくちゃ扱いやすい世の中になっている。
スマホ,タブレット……簡単に,映像をを録画し,再生も容易である。
この当時のストップモーション方式に比べたら,数倍もやりやすいだろう。
加えて,今の時代,つまりは,個別最適化をめざす時代に,ストップモーション方式をリニューアル,もしくは,アップデートするときにきているのかもしれない。
当時のストップモーション方式は,教室全体を録画するビデオカメラが1台,もしくは2台で行う形だったこれは,一斉授業が当たり前,前提だったからこそ成り立った型式である。つまりは,教師の指導言(指示発問説明)を拾っていく,注目していく授業だったからである。
今は個別最適化の名のもと,多様性を求める,認める時代であるので,そこかしこで,子どもたちが様々な学び,つぶやきをしている。この1991年代当時のストップモーション方式では拾えないことが生じると思う。
数年前から,水落芳明研究室では,研究授業等で,参観者の先生にiPadをもたせ,さかのぼりというアプリを利用して,この活動がおもしろい(興味深い)という場面を個別に録画してもらって,事後検討会で,互いに録画した画像を見せあい,どうしてこの動画場面を録画したのか等々を話してもらうようなことをしていた。 これは,ある意味,ストップモーション方式の発展形ではないかと思う。
とにかく,今は,映像を簡単に扱える時代となった。
この映像を用いた,研究,分析,はどんどん進めていくべきだと思う。
わたしのゼミでも,どんどん映像を使っていきたいと思っている。