ゼミで鈴木優太さんを招いて感じたこと(その2)〜「進め方」「考え方」「あり方」〜
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この時間を優太さんは,自著「教室ギア55」(東洋館出版社)を中心にゼミ生と対話を行う形で進めました。
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この様子を見て,優太さんのこの本は,このようにして「本を読む+講座」という形で読み進めるのが一番の正解だなぁと実感しました。
実は,優太さんがこの本を出版したとき,「ずいぶん,若々しい本を出したなぁ」というのがわたしの感想でした(もちろん,優太さんは若々しいですけど)。
それは,どちらかというと教員になりたての,
毎日毎日をどのように過ごしていいかわからない
その日その時のネタが必要
目に見えるもので子どもにアピールできるものがほしい
子どもと自分を接着するツールや武器等があるとうれしい
などなど,目の前で起きている事象に対して,とにかく即興的に即効的に何か対応できるものの一覧を書籍に整理整頓して提供してきたと受け取ったのです。これはこれで,喫緊に必要とする人の助けにはなるけれども,その場しのぎ感が強くなり「育ち」や「学び」としての継続性はあるのか勘ぐりたくなる部分が生じます。
実際,1アイテム(1ギアと呼んだほうがいいのかな?),見開きページで紹介されていくこの本では,著者の優太さんが「はじめに」の中でいくら
最も大切なポイントがあります。
「何のため?」
これを子どもたち自身が「納得」することです。(以後,省略)
と書いても,スペース不足は否めず説明不足だったり,全頁カラーゆえの各アイテムが派手に目に飛び込んできたりと「若々しい方々」へ向けた本の印象は拭えませんでした。
ここでの特徴は「使い方」だったり「進め方」だったりになりますね。
それを察してか,それとともにこの本を世に広めて多くの方々によりよい学級経営,授業経営をしていってほしいという考えからか,優太さんは当時盛り上がりはじめた「Clubhouse(クラブハウス)」でゲストを招いて著書をもとにしてギアの話を展開していきます。
また,著書をもとにした「オンラインセミナー」を2回ほど開催します。わたしは,声をかけられてどちらもセミナーのファシリテーター役として参加しました。
優太さんから「教室ギア」エピソードを伝えてもらい,オンラインではありますが参加者同士の対話を促したりして時間を進めました。
ここでの特徴は,「考え方」だったかなぁと思います。
そして,今回の優太さんを迎えた特別ゼミ。
対面で行うこと
事前に全員が書籍「教室ギア」を読んできていること
参加者全員がゼミ生なので互いに関係性を築けていること(面識があること)
事前アンケート「ベストギア」と「ムズイ(ちょっと自分が行うには難しそう)ギア」を理由付きで答えてもらっていること
こららをもとに,優太さんだからこその「めちゃくちゃ作り込んだ講座」。
しびれました。
ここに初めて,単なる「進め方」だけでなく,その裏にある「考え方」だけでなく,教師の立ち位置や無意識な振る舞いまで含めた「あり方」に関するエピソードが満載の講座ができあがっていました。
例えば,ある学生の「ムズイギア」と別の学生の「ベストギア」が重なるわけです。これらを取り上げて,学生同士,どうしてそうなったのか話を聞き出します。双方の話を受け入れつつ,自分自身がこの「ギア」を誕生させた(取り入れた)背景を語っていきます。学生の考えと重ねて話していくわけですから,単なる「ギア」の説明では学生やその場にいる参加者は納得できません。ふだん可視化されることが少ないかもしれない優太さんの教育観だったり,授業観や学級経営観を意識してさらけ出していかなければならないという講座の作りになっているのです。
わたしは,この春,優太さんも著者の一人としてお世話になって「『学び合い』が機能する学級経営」という本を出版しています。
https://gyazo.com/5fa65805fa40cc242aab92145cf74cd1
ぜひ,買ってください(笑)。わたしとしては本当にいい本を仲間と出すことができたなぁと思っています。何度も,オンラインで対話を重ねながら内容を吟味した本を世の中に出すことができたと思っています。
この本を執筆していく際,わたしなりのこだわりやしかけを組んでいるのですが,その一つが表紙にも載せているように「進め方」「考え方」「あり方」で『学び合い』が機能する学級経営を紹介するということでした。 目の前のことだけをなんとかしようとやっきになって「進め方」だけに固執しないでね。意義,意味,理由なき「進め方」は主体性のない単なる指示通り動く人間を育ててしまいますし,自立心のある子達は大いに反発しますよ
でも,「あり方」だけを心に秘めていても,それに対応する姿,たとえば,技術や振る舞いがなければ子どもたちを含む周囲には影響を与えませんよ
ということです。
優太さんとは,会うたびに,お酒を飲むたびに,一緒に温泉に入るごとに,一緒に泊まるごとに,基本,教育のことばかり話していてそれなりに優太さんの「進め方」「考え方」「あり方」を知っているつもりでしたが,「教室ギア」を通した「進め方」「考え方」「あり方」を知って新たな優太さんの魅力を見つけたように思います。
会うたびに毎回毎回,新しい学びを気づかせてくれる優太さん。
本当にありがとうございました。
次回,お目にかかる時,またどれだけでっかくなっているのだろう。楽しみです。