偏微分と全微分
偏微分
1変数関数の微分
関数$ y = f(x)について$ xと$ x + \varDelta xの2点を通る直線の傾きは$ \frac{f(x + \varDelta x) - f(x)}{\varDelta x}となる。
ここで、$ \varDelta xを限りなく小さくしたとき、この傾きは点$ xでの接線の傾きを表す。
この接線の傾きを$ \frac{dy}{dx}と表し、$ \frac{dy}{dx} = \lim_{\varDelta x\to 0}\frac{f(x+\varDelta x)-f(x)}{\varDelta x}によって$ xの微小変化に対する$ yの変化を求めることを(1変数関数の)微分という。
なお、微分の表記にはライプニッツ記法($ \frac{dy}{dx}, \frac{d}{dx}f(x), \frac{df(x)}{dx})、ラグランジュ記法($ f'(x), y')、ニュートン記法($ \dot{y})の3種類が存在する。
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多変数関数の微分
関数$ z = f(x, y)について$ (x, y)と$ (x + \varDelta x, y)の2点を通る直線の傾きは$ \frac{f(x + \varDelta x, y) - f(x)}{\varDelta x}となる。
ここで、$ \varDelta xを限りなく小さくしたとき、この傾きは点$ (x, y)での$ x方向への接線の傾きを表す。
この接線の傾きを$ \frac{\partial z}{\partial x}と表し、$ \frac{\partial z}{\partial x} = \lim_{\varDelta x\to 0}\frac{f(x + \varDelta x, y) - f(x, y)}{\varDelta x}によって$ xの微小変化に対する$ zの変化を$ yを固定したまま求めることを偏微分、または多変数関数の微分という。
$ y方向についても同様に考えることで、$ \frac{\partial z}{\partial y} = \lim_{\varDelta y\to 0}\frac{f(x, y + \varDelta y) - f(x, y)}{\varDelta y}によって$ yの微小変化に対する$ zの変化を$ xを固定したまま求めることができる。
なお、偏微分を表す記号$ \partialはラウンド、パーシャル、デル、ディー、ラウンドディーなどと呼ばれることが多い。
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全微分
関数$ z = f(x, y)について$ (x, y)と$ (x + \varDelta x, y + \varDelta y)の2点を考えたとき、$ (\varDelta x, \varDelta y)の取り方により微小な面積の平面を考えることができる。
ここで、$ \varDelta xと$ \varDelta yを限りなく小さくしたとき、この平面の傾きは点$ (x, y)での接平面の傾きと等しくなる。
そこで、$ xの微小変化と$ yの微小変化に対する$ zの変化を求める。
まず、$ xの微小変化について考えると、$ (x, y)と$ (x + dx, y)において$ xが傾き$ \frac{\partial f(x,y)}{\partial x}に対して$ dxだけ変化するので、$ f(x + dx, y) = f(x, y) + \frac{\partial f}{\partial x}dxが成り立つ。
次に、$ xの微小変化後における$ yの微小変化について考えると、$ (x+dx,y)と$ (x+dx,y+dy)において$ yが傾き$ \frac{\partial f(x+dx,y)}{\partial y}に対して$ dyだけ変化するので、$ \begin{aligned} f(x+dx,y+dy) &= f(x+dx,y)+\frac{\partial f(x+dx,y)}{\partial y}dy \\ &= f(x+dx,y)+\frac{\partial f(x,y)}{\partial y}dy\quad(\because \frac{\partial f(x+dx,y)}{\partial y} // \frac{\partial f(x,y)}{\partial y}) \end{aligned}
が成り立つ。
以上より、$ f(x+dx,y+dy)-f(x,y) = \frac{\partial f(x,y)}{\partial x}dx + \frac{\partial f(x,y)}{\partial y}dyを得ることができる。
この$ zの変化を求めることを全微分といい、$ dfと表す。
$ \therefore df := \frac{\partial f(x,y)}{\partial x}dx + \frac{\partial f(x,y)}{\partial y}dy
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