井口皓太モーショングラフィックス
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美大予備校の講師に「井口が作るグラフィックは固まっていない」と言われたことがある。それはレイアウトの不安定さや、静止した緊張感の欠如を指摘する、素人へのよくある注意だったはずだが、僕自身はそれを妙に納得してしまった。僕にとってグラフィック(平面)とは、常に連続する時間の中から一枚を選択することであったり、空間を切り取ったフレームそのものを指すのだと、どこかで捉えてしまっていたからである。グラフィックデザイナーを目指していた当時の自分は、その特性を弱点のように感じ、平面を宇宙に見立て自由に要素を落とし込んでいける友人たちを、ただ羨ましく思う時期もあった。
武蔵野美術大学基礎デザイン学科に入学し、「デザインを限定しない」という考え方に救われていく中で、原研哉先生に言われた言葉がある。「グラフィックデザインは、そもそも時間も空間も内包している」それは実際、昨今の何でも映像やCGにする流れに対するボヤキだったのだが、僕には、今日までの長い道のりを照らす、極めて価値のある言葉に感じられた。
「モーショングラフィックス」という言葉に、どこか懐かしさを覚える方もいるかもしれない。僕自身、その言葉が少し安易な気がして、好んで使ってこなかった時期もある。しかし、映像メディアが4:3から16:9、640pxから 3840pxへ広がり、平面を超えて立体へ、あるいは環境へと拡張し続けたこの20年間、数多くのグラフィックデザイナーと協業する中で、僕はまさに「グラフィックデザインをモーション」させてきた。グラフィックデザインが本来内包している時間と空間を紐解き、現代の体験へと翻訳すること。そう捉え直すと、モーショングラフィックスは今、グラフィックデザインの延長線上にある、ひとつの純粋な表現手段と言えるのではないだろうか。 本展の1階会場では、石井伶氏、三重野龍氏、佐々木拓/金井あき氏という3組のグラフィックデザイナーを招き、彼らのグラフィックに見る特性(幾何図形と規則性、文字と身体性、紙と連続性)を「モーション」によって解体し、モニターの外側にある時間と空間へ転写することを試みている。これは、私がこれまでCG空間で行ってきた探求を、再度グラフィックデザインの領域へと戻していく行為でもある。 地下会場では、表現の拠点としてきたクリエイティブアソシエーション・CEKAIにおいて、ものづくりを支える多くのプロフェッショナルたちと実現してきた仕事の数々を展示した。個人の衝動がいかにしてチームの熱量と混ざり合い、社会や都市の中に実装されてきたか。その軌跡をぜひご覧いただきたい。
一枚の静止画が持つ普遍的な強度と、時間がもたらす時代性と情緒的な広がり。その境界線上に浮かび上がるモーショングラフィックスの現在地と、その先に描こうとしている未来を感じていただければ幸いである。
最後に、本展の開催にあたり多大なご尽力をいただいた公益財団法人DNP文化振興財団をはじめ、関係者の皆様に心より感謝を述べたい。
井口皓太
概要
gggが「モーショングラフィックス」を正面から冠して取り上げた展示は今回が初となる。
ソール・バスは?
gggでのソール・バスはグラフィックデザイナーとして紹介されポスターが中心の回顧展だった。
前田ジョンは?
デジタルインタラクティブ領域として紹介されたが、モーショングラフィックスが主題ではない。
ライゾマティクスは?
gggでは田中一光ら昭和を代表する過去のグラフィックデザインを分析する企画展だった。
所感
HelloPeople.iconはギャラリーに行くまでは主に東京2020のピクトグラムのモーショングラフィックスの作者というぐらいの認識だった。
展示を見てHelloPeople.iconが感じたのは、井口皓太氏は「軌道」や「線」を大切にしていて、特にパスアニメーションに造詣のある作家だと思った。
大原大次郎氏とのポッドキャストではモーショングラフィックスを見えない領域(主に時間)を含んだグラフィックとして扱っている感覚なのだろうと評されていた。
アニメーションとモーショングラフィックスを明確に分けている
「アニメーションの根幹となるアニミズム(=命を吹き込む)ではなくグラフィックの中にある力学のようなものを延長線上で表現している意識がある」と井口氏は語る。
アニメーションの軌道も、ベジェ曲線で、それはグラフィックでペンツールを扱うのと何ら変わらない。
時間を線で捉えている
反転して、文字が書かれていく時の過程のように、グラフィックの中に時間を感じてそれを表現に落とし込んでいる。
「なぞる」も感覚として近いかもしれない。
GUのロゴアニメーションはなぞっている。
し、正円だからこそ回転アニメーションが様になっている。
東京オリンピック2020のピクトグラムもなぞっている
身体を線で捉えた時の動きをしていると思う。
そう言う意味では、人間の体というよりも「人」という字のような、ピクトグラムが指そうとしているものよりもピクトグラムそのものが持つ記号らしさをアニメーションに落とし込んでいると感じる。
競技のルールを逸脱しない範囲で、できる表現出来ない表現もあるなかであくまで記号として示すというのはとても良かったと思う。
HakuのMVもキーフレームではなく線を扱うベジェ曲線の軌道でカメラが移動する
パスアニメーションであり、リニアでもあることが特徴だった。
リニアでありながら速度を感じる
リニアは体感(というか体に馴染む動き)ではなく計測する時間の流れと同じ、だからそこにメタさというか厳かさのようなものがあると思う。
体は加減速の連続運動
筋肉は閉じると伸ばすの二つしかなくて、この二つの間を往来する時にバネのように引っ張り合う。
だから2点間の間でどこかで速度の変化がある。
HakuのMVの面白さは、カメラはリニアでありながらオブジェクトが画面外から映り込むタイミングにリズムがあってそこに速度を感じることができること。
「速度」を表現する時、素直に考えたらオブジェクトの移動を連想するけど、このMVは密度になっている。
音楽として早ければ早いほど画面の密度は高くなり、遅ければ遅いほど密度は低くなる
90度の急な旋回のあるパートもリニアだからこそなのか、角度のきつい移動の時に加速しているように見える
また井口皓太氏の展示ではあるものの、井口皓太氏を中心としたクリエイターが集まったCEKAIの展示でもあった。
1階
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ポッドキャストによれば、1階はグラフィックの3代要素「点」「線」「面」に応じて大きく分けて3つの作品に分かれている。
石井伶のグラフィックに内在するアルゴリズムや規則性に着目し、見えない構成原理を抽出して運動へと変換。図形同士が呼応する動きを通して、時間を刻む立体作品として実体化しています。
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三重野龍の線に宿る予備動作や余韻といった身体性を抽出し、Z軸(奥行き)を持つ立体へと変換しました。筆跡の背後にある運動の軌跡を、動的な彫刻として空間に描き出しています。
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佐々木拓・金井あきの作品に見られるクラフトと手触りに着目し、ポップアップ構造とめくる動作を掛け合わせました。紙に内在する運動を、立体的な視覚装置として再構成しています。
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B1階
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代表作のアーカイブ
主にCEKAIでの活動を通じた代表作の紹介が中心。 権利関係の映像があるため撮影ができなかった。
地下会場では、井口先生が設立したクリエイティブアソシエーション「CEKAI」のメンバーと協業した作品を含め、井口先生自らが手がけた代表的な仕事を一挙に紹介!
世界を驚かせた数々のプロジェクトの裏側に触れ、これからの映像・視覚コミュニケーションの可能性を没入感たっぷりに体験できる空間になっています。
会場で紹介されていた作品一覧
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04. Gif Animation
大の釣り好きとしても知られる井口皓太氏、釣りに関する展示空間が設けられていた。
少しこじつけではあるかもしれないが、魚の竿の先から自分の手元まで巻き取ると言うことが時間の流れそのものとも言えるしパスアニメーション的とも言えるから、そこに気持ちよさを感じているのかなとか思ったりHelloPeople.icon
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2階
上映展示
ギャラリーツアーのポッドキャスト
https://open.spotify.com/episode/0tvCwpSVni9z3SIUFva81W?si=9c0c12e91b7b4a1d
https://open.spotify.com/episode/0I8dL8ECq2ru3soXEsbq4B?si=19a4b71e97e64d1e
https://open.spotify.com/episode/26cG4isds9QDwpXYcTQa7o?si=8af6e3ae8ed244a6
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