Prosody・春
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わか 若 むらさき 紫 の かげ影 を うす薄めて いちばん一番 に
はる 春 のしらせ 報 を はこ運ぶ しおかぜ 潮風
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よざくら 夜桜 の ち散り そ初めぬれば
さむかぜ 寒風 に いろ 色のかげ 影 ひ曳くいけ 湖 のさざなみ 漣
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つき月は お落ちても
かな叶わぬしお潮でも
おき沖にひがし 東 のかぜ風あれば
はた旗 あざ鮮やかに うた唄 いさ勇ましく
あさ朝を ま待たずに ふね船は で出る
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ねんどまつ年度末 じぎょうほうこく 事 業 報 告 か書き お終えて
あ有ること な無いこと じ が自画 じさん自賛
けっさん 決算 しょるい書類の すうじ数字も お合うて
してやったりのばんばんざい 万々歳
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はる春 み満ちて
うとうと のたり ふね 船 を こ漕ぐ
なつ懐かしの うら浦のみなと 湊 は おだ穏やかに
いろじろ色白 き しおね潮音は ゆめ夢 かまぼろし 幻 か
うとうとと ひねもす のたり
また のたり
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はいおく廃屋 の くちき朽木のかげ 陰に きぎし雉子の お尾
ひと人なきさと里に はる 春 かお薫る
たれ誰が しの偲ぶか お憶ぼゆるか
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あしびきの
みやま深山にひと独り よ夜は ふ更けて
と閉ざされしつき 月 ま待つかた 肩を
ぬ濡らすしぐれ時雨か
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ゆすらうめ 梅桃 あ せ び馬酔木 いぬしで 犬椣 ひめこうぞ 姫楮
みんな 皆 で わら笑 う うららの ひ陽
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われ我 ひとり一人 もり森に まよ迷える たの 愉しみは
はるぜみ 春蝉 の ね音 を たず訪 ね き聴き
ふた二つ み三つ つ摘む やま山 の きいちご 木苺
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たぐさ多草のつき 月の さむ 寒さをもど戻すくすりあめ 薬雨
いそ 急ぎ き来て ふる震えて く悔やむはやつばめ 早燕
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ねむ眠れぬよる夜に うそ鷽が き聞く
かくかくしかじか 斯々 然々
かな 悲しい こい 恋の むかし 昔 のはなし 話
あかことひき紅琴弾鳥が
よい宵にさえずる や お八百の や わ夜話
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ま待ちびと人の く来るあてもなし さつき皐月 ば晴れ
なぐさ 慰 めに お み く じ御神籤 ひ引いて チ とか い言う
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お と め ざ乙女座 の わ我が な名をいだ抱く はる春のほし星
きみ君 す住むまち街 の そら空にもあるらん
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おごそ 厳 かに かどで門出おく送りし しき式のあと
まな学び や舎の その園 にかそけき こがら小雀 きびたき 黄鶲
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らくじつ落日 の せき関 に ちゆう知友を みおく見送れば
わ我が しょうしょう 蕭蕭 を おきざりに
じゃぁまたと とお遠ざかる せ背のいさぎよ 潔 さ
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めい姪 に あ宛て にゅうがく 入学 いわ祝い つつ包むとて
がくめん 額面 を まよ迷うわび侘しき ふところ 懐 ごころ 心
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あかね 茜 さす こきょう故郷 の みち道 の はな 花 いばら 茨
か彼の ひ日のうそ嘘を わび 詫 る すべ術 なく
いま今も この み身に ぬ抜けぬとげ 棘
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ただたわむ 戯 れに み身をまか任せ
きみ君とくら暮らせし かりそ仮初めの
はる 春のそけい素馨の おも思い で出の
うす薄れるいろ 色 こそ さび寂しけれ
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はなみずき ぬ濡らすしずく 雫 は むらさめ 叢雨の
す過ぎて ためら躊躇う かさ 傘 のかげ 陰
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やす休みのあさ朝に あめ 雨 ふ降りはじ始め
せんたく 洗濯 も そうじ掃除も や止めて
ねこ猫 を だ抱き よ寄せ ひっくりかえ返し
しこたま す吸って に ど ね二度寝する
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はる春 あさ浅 く やよい弥生のかぜ 風の さむ寒かれば
しごと仕事サボって いでゆ出湯に あそ遊 び
ぎょうし凝脂をあら洗いて よく浴をむさぼ 貪 り
ゆ ご湯後のアイスは びみ美味 しふく至福
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はれ晴れわた渡る
な菜のはな 花 ばたけ 畑 のはる 春のけしき景色は
はかな 儚 き こい恋の わす忘 れ がたみ形見と
い言うてみるだけ あざ 戯るだけ
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つまど妻問いの さえず 囀 り きそ競う すわえ 杪 を あお仰ぎ
ひめ 姫 の あでは艶羽や いかほどと
み視れど み つ見付けず かろ軽んじそね 嫉ぶ
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しののめ 東雲に あ明けのわか 別れを お惜しませる
ふるさと 故郷の なだ 灘はみちしお 満潮 む向かいかぜ 風
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この み身にやど宿す つきもの 憑物 どもに
そそのか 唆 されて いそいそと
わる 悪いことしに で出かけるよる夜は
くら暗いみち道でも はな華のみち道
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この ほし 星 と あのてんたい 天体 との いちかんけい位置関係
あるじょうたい 状態 を ひる 昼 と い云い
あるじょうたい 状態 を よる 夜 と い云う
われら我等 の こと事 など おかまいなしに
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ねむ 眠らぬみやこ 都 つ尽きぬ ゆめ 夢
かよ 通いかさ 重ねし あらた 新 の みはし御階
いにあし 往脚 おちあし 落脚 みだりあし 乱脚
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く暮れのとばり 帷 に こうもり蝙蝠 が と飛んだら
＞ こんや今夜 あ逢いに い行く
つきかげ 月影 に こ い し恋鳥が さんど三度 な鳴いたなら
＞ おそ 遅くなっても ま待っている
ひみつ秘密の し知らせ あいことば合言葉とか
あったら どんなにたの 楽 しかろうに
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つき 月 もなく ほし星も み見えない よ あ夜明けまえ前
まいご 迷子になるかも し知れないけれど
い 行ってきます なんとかなります
だいじょうぶ
しんぱい 心配 いらない もう はる 春だもの
だいじょうぶ
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いきょう異郷 に ひとり たたず 佇 みて
ふるさと 故里のはな 花の たよ便りも とど届かぬままに
はる 春 のおわ 終 り と なりにけるかも
春章 終