ムーンサーペント号
元船長とそっくりで、ムーンサーペント号は古く、大ぶりの船だった。船幅は大きく、沢山のマストから数十もの傘付きランタンがぶら下がり、その薄暗い明りが船を照らして輝かせている。そのブリガンチン船の硬化処理済みの材木には、水漏れ防止処置がしっかりと施され、蛇のような鱗模様が彫られていた。模様の溝にこびり付いた塩が月明りの下で銀色に輝いている。帆は巻かれていたが、その煌めく白い布を見たサラには、アライアが大金をはたいたことが分かった。体当たり攻撃用の船首像は、敵の砲弾を溶かして作った牙の付いた大蛇だった。