次に「目標」を手渡す
次に「目標」を手渡す
これはシンプルに説明できます。P○では、下の表のように僕が子どもたちに示しているテストの合格点の例を示しました。
合格点
大テスト 80点
小テスト 90点
自分テスト(けテぶれのテ) 100点
けテぶれの導入期にはこのように、指導者から、目安となる目標を提示します。これは先程の「手段」を手渡すために、まず指導者がその“型”としての「けテぶれ」を紹介するのと同じです。ですが、何度も自分で自分をテストし、小テストを受け、大テストを受け、としていれば、だんだん自分は次のテストで何点取れそうか、という感覚が育ってきます。
こうかくと、“そんなの、けテぶれをやる前から何となく子どもたちはわかっているんじゃない?”と思われるかも知れませんが、それとは決定的な違いがあります。それは、そのテストに至るプロセスです。今までは先生に指定され、先生の言ったとおりに振る舞うことでテストに必要な知識を身に着け(させられ)ていました。しかし「けテぶれ」ではそのプロセスがすべて自分に任されているわけです。だから、そういう学習環境で自分が何点取れるか、という見通しを建てるには、今までとは違う自己決定のプロセスを何度か経験しなければならないのです。
目安としては2学期あたりですね。“目標”を自己設定しましょうといいます。具体的なやり方はとてもシンプルで、テストが始まれば点数の欄に鉛筆で目標点を書くだけです。提出されたテストを教師が丸付けをして、実際にその点数に達していれば、点数にはなまるをつけてあげます。目標達成おめでとう!ということですね。さらに、こういうことをするときには「点数の上限を外す」という仕組みが大変有効です。漢字テストなら、問題文中の習っていない漢字も書けたら+10点、計算テストなら、裏面にオリジナルの文章問題を作れたら1問につき10点(ただし、通常の出題箇所で間違いがあれば加点はなし。)など、ルールは色々と考えられると思います。
なぜこういうことが有効かと言うと、小学校のテストで問われる知識は基本的なものが多く、けテぶれをしっかり回せるようになれば多くの子が100点近くの点数を取れるようになったり、更に習熟していくと、学習方法がどんどん効率的になり、かなり少ない労力で100点を取れるようになる子が現れたりするからです。そういう子からすると、テストの点数の上限が100点だと、けテぶれを回す必要性がなくなってしまいますよね。頑張れば頑張るだけ点数として現れるという仕組みは、そういう子達の意欲を持続させる上で大切な仕組みなのです。
こういう仕組みがあれば、目標を自己設定するとき、120点、とか200点!とかいう目標を建てることができるようになりますよね。目標とは自分がなんとか頑張って届くか届かないかのところに設定するから、楽しいのですよね。それができるようなテストの設計にしてあげることは非常に大切です。