優位性①:バラバラな学びを統一する
今日の学校教育において、文章理解に関する指導も文章産出に関する指導もされてはいるが、授業場面で提示される知識は文章理解、文章産出活動を断片的に切り取ったものでしかなく、子どもたちはいつまでたってもそれらの知識を統合できずにいる。だから“使えない”のである。
そこに読むこと、書くことを統一的に定義した「QNKS」という概念があれば、教科書で学習する個々の知識はすべてQNKSという概念に統合させていきながら学ぶことができる。文法的な学習は“文章の中でどの情報が重要なのか”を見極めるNのときに使うための知識であると認識できるし、起承転結や、順接や逆説、並列や対比といった論理に関わる接続詞はKをするときに意識すべき知識であるとわかる。表現技法や、総括型、尾括型などの述べ方に関する知識はSの段階において“他者への伝わりやすさ”を意識するときに使うべき知識であることがわかる。
さらにQNKSは「読むこと」と「書くこと」を統一的に定義しているため、「読む」ときに得た上に挙げたような知識をそのまま、「書く」ときに活用するところまで接続することができる。例えばQNKSを使って説明的文章を読み解けば、Kの情報の組み立ての段階でその文章の論理展開の形を学ぶことができる。その知識は、QNKSを使って自分で文章を書く時、題材を抜き出してきて、組み立てる際にそのまま応用することができるのである。
このようにQNKSの“統一的な定義”という特性は、「読む」「書く」それぞれの領域の中においては、教科書で提示される断片的な知識を統合する役割を果たし、「読む」「書く」を統合的に見た言語活動という大きな領域の中では、「読む」行為と「書く」行為を接続し、それぞれで得た知識を横断的に活用することを促進する。
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