型の使い方
とある個人的な体験なのだけれども。
ある日私は、新たなサービスを考案し、その顧客と出逢うためのLPすなわちランディング・ページなるものを作ろうとしていた。
自分なりに工夫して作ってみたものが、どうもしっくりこなくて、専門家に相談したところ、言いたいことが散らかっていて、肝心な部分が理解しにくいので、一度、いわゆるひとつのLPの型に、嵌めてみてはどうか、と、助言された。
なるほどと思い、そんなの簡単だと思って、早速やってみようとしたのはいいが、どうも具合がよくない。ここにこれを書け、という指示は読解できるし、シンプルにその意味もわかるが、なにを書けばいいのか、これがなぜだか出てこない。
色々と格闘してわかったのは、その型を使うにあたっての前提の整理というものが、できていなかったのだった。
前提の整理というのは、つまり、その情報提供は誰がどんな認知状態であるところになされるのか、とか、その人が比較検討する他の価値はなにか、とか、己の事業はそのサービスを通していかに変革していきたいのか、とか、畢竟、己はどんな顧客と出会い、どんな仕事や価値を生み出していきたいのか、ということである。
もちろん、ある程度の考えやイメージはあるものの、それが未整理なままで、型にとりあえず言葉をぶち込んでも、なんだかよくわからない、混乱した作文が一丁上がりなだけである。
型というやつは、それを使う意味がわからないと、宝の持ち腐れである。
それはまぁ、以前からの信条だったわけだけれども、自分でそれを立証してしまったのが、なんだか、可笑しかった。