人間の持つ感覚器官
人間が、身体の内外の状態を理解するために、受容体の役割は欠かせない。
視覚
網膜にある視細胞(錐体細胞と桿体細胞)により、光を受容する。錐体細胞は特定の波長に反応し、色彩を区別する。赤錐体、緑錐体、青錐体の3種類がある。桿体細胞は主に明暗を知覚する。
嗅覚
約400の受容体がある。ひとつの分子は、複数の受容体を刺激する。複数の受容体からの刺激をひとつの印象として統合し、記憶と照合したり、好悪の価値判断を下したりする。
味覚
食物に含まれる味物質が味蕾によって検出される。味蕾は数十個の味細胞から形成され、味物質は味細胞に存在する味覚受容体によって検出される。口腔内で味蕾はおよそ数千個存在し、約2/3が舌に、残りが軟口蓋、咽頭などに分布する。食物の味は5つの基本味、甘味、うま味、苦味、酸味、塩味-に分類される。辛味は痛覚を介して、渋味は物理的な収れん感覚であると考えられるため、基本味ではなく補助味に分類される。
聴覚
外界からの音は、外耳、中耳を通り、内耳蝸牛に達する。感覚細胞である有毛細胞は、感覚毛が分布する頂上膜のみを内リンパ液に、細胞体を外リンパ液に浸している。有毛細胞の感覚毛が屈曲することで、細胞を電気興奮させ、音の物理的刺激が電気信号に変換される。周波数弁別能の成立に最も重要な役割を果たすのは蝸牛である。蝸牛の基底板は頂上(低音部)へ行くほど、幅が広く柔らかくなっており、物理的の勾配が、周波数弁別能に必須の役割を果たしている。
触覚
皮膚や臓器に与えられる機械的な刺激を検知する受容体は、Piezo1及びPiezo2と呼ばれる。全身の皮膚や臓器に張り巡らされた感覚神経細胞の末端にあるこれらの受容体により、物体の硬さや手触りを確認することができる。空気を吸ったときの肺の膨らみを感じたり、膀胱に尿がたまったことを検知するのも同じ受容体の作用である。
温度
温度を感じるのは、カプサイシンに反応する温度受容体TRPV1である。もとは痛みの受容体として理解されていたが、43°以上の熱に反応すること、辛味を知覚するものでもあることが、後に発見された。
良い解説資料があったので、リンク。