「副業解禁から5年」日経記事の噴飯
日経の記事より。
「副業はバラ色ではなかった 解禁5年、企業と働き手にずれ」
記事の冒頭にズッコケた。
「社外でスキルを発揮しながら副収入を得て、経験は本業に生かす。そんな理想の形はまだ多くない。」
どこの国の、なんの話をしているのだろうか。
日本の大企業経営部門にも、従業員にも、大手メディアにも、なんだかどうも、感覚のズレがある。というか、馬鹿者しかいないのだろうか。
今回の調査の主な内容は、経団連会員企業が対象だそうである。
https://gyazo.com/449695b979c0c37f0125e248381669b2
引用 日経
つまりこの記事が想定している副業のモデルは、from大企業to大企業、ということが察せられるわけだが、少し頭を働かせたら、そんなもの成り立つわけがない。実施率が右肩下がりなのは、ごく真っ当な反応である。
いちいち指摘するのも莫迦莫迦しいが、簡単に整理してみる。
①副収入?
大企業のサラリーマンが別の会社で副業して、なぜ収入が増えると思うのだろうか?
勤務先も副業先も時間給である。働く時間を伸ばさないと、収入など、増えるわけがない。
主たる勤務先の勤務時間を削って、それを副たる勤務先への勤務時間に充てる。ゼロサムという以外に形容のしようがない。
②スキルを発揮?
大企業の正社員の仕事は、社内決裁の数珠繋ぎである。Officeソフトをいじくって誰かになにかを説明したり、人間関係を形成、維持することである。
また、その結果として、どこかの誰かに何かを発注し、その成果を検品、上納することである。
つまり、自分で何かを生み出すようなことをしていない。それに近い実作業をしていたとしても、交換可能な組織のパーツとして機能するのが第一義で、そこを離れたら無力である。
そんなわけで、そもそも社外で価値創造し、お金を稼げるような、スキルと呼べるような代物は身についていない。
③経験を本業に活かす?
そもそもこの記事の想定するモデルでは、副業先で得られるのは経験ではない。お金である。
そりゃあそうだろう。外に「スキルを発揮」しにいくのだから。外に修行を積みにいくのではない。
外で得た情報や人的関係性を持って帰る、ということなら、まぁ、わからなくもないのだが、まぁ、そういうふうには表現できないか。
いずれにせよ、外で得た経験を本業に活かす、みたいなフレーズが出てくるのは、記者の頭が破綻していることを示唆しているわけだが、どこまで破綻してるのか、その果てが見えなくて恐ろしい。
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結局のところ、彼らが副業しにいくべき先は、彼らが顎で使っている「業者」以外にないのだ。そこから得られる収入や、そこで満たされる自尊心が期待値以下なのは、言うまでもない。
サラリーが生活費に満たないのであれば、株かなにかをやった方が100倍早い。
まぁ、そんなことは、大企業側の人たちは、百も承知、二百も合点。外圧で、やれと言われたから付き合っているだけ、ということがほとんどであるのは容易に想像がつく。
なんのことはない、バラ色なのは、記者の頭の中だけだったのである。
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しかしまぁ、よく考えてみると「社外でスキルを発揮しながら副収入を得て、経験は本業に生かす。そんな理想の形」というのは、ダメなプロジェクト構想の見本みたいなものである。
手前勝手で、実情を見ておらず、論理が破綻していて、バラ色。
そういう構想では、何をやっても駄目である。
大組織は、現場や現実からの距離があるので、どうしても、そういう類の取り組みが発生しがちである。
(その他の図の引用)