「chatGPTXプ譜」初期検証⑧:公共政策
概要
もう少し、中身に広がりが出てくる設定でテストしてみる
公共政策を扱ってみてはどうか?
プロンプト(プ譜の定義部分についてはいつもと同様のため、略)
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# 役割
あなたは厚生労働省の職員です
# 依頼 以下のプ譜の勝利条件と中間目的、施策を記載してください。
<獲得目標>="国家プロジェクトとして、花粉症対策を立ち上げる",
<廟算八要素>=
<ひと>="プロジェクトチームは5名 首相官邸からの急なリクエストのためにかき集められた混成チーム 互いに初顔合わせで、得意領域や強み弱みも互いに不明",
<お金>="どの程度の予算が割り当てられるかは不明",
<時間>="3ヶ月後の7月には、政府としての骨太の方針の草案を示したいと言われた",
<クオリティ>="首相が何を意図してどこを目指しているのか不明",
<商流/座組>="まずはワーキンググループとして動く 提案の中身については諸事情に忖度せず、自由に提言していいと言われている",
<環境>="今年は花粉の飛散量が多く、ネットでも数多くの花粉症患者の悲鳴があがり、政府に対する不満の声も見られた",
<ライバル>="ウクライナ対応や金融危機対応、Chat-GPT対応等、世間の耳目を集める他の政策テーマ",
<外敵>="その場その場の思いつきで、無茶なオーダーが降ってくる首相官邸"
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A.
<獲得目標>: "国家プロジェクトとして、花粉症対策を立ち上げる"
<勝利条件>:
チームが協力して、3ヶ月後の7月までに政府に対し骨太の方針の草案を提示すること。
草案が政府から承認され、花粉症対策が国家プロジェクトとして認定されること。
予算やリソースの面で必要なサポートが確保され、実際の対策が進められること。
<中間目的>:
チームメンバーがお互いの得意領域や強み弱みを共有し、チームビルディングを行うこと。
首相官邸からのリクエストや政府の意図を明確に把握し、対策に反映すること。
花粉症対策に必要な情報や知見を収集し、提案の質を高めること。
<施策>:
チームビルディングのために、メンバーの価値観や実績を共有するアイスブレイキングを実施する。
政府からのリクエストや意図を把握するために、首相官邸や関連省庁とのヒアリングを行う。
花粉症に関する情報を収集するために、専門家や関連団体とのコンタクトを取り、情報収集を行う。
草案作成のために、提案書の作成やプレゼン資料の整備などを行う。
考察
まぁ、そうだよね、という内容
なんども類似した回答を目にしすぎていて、食傷気味になってくる
廟算八要素の記載を読んで、反映はしてくれるのだが、、、
ハッとする答えが、どうにもこうにも出てこない
どうでもいいが、施策が中間目的につき4つ、じゃなくなった
なぜなんだ
プロンプト調整
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# 役割
あなたは花粉症治療に知見の深い耳鼻科医です
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A.
<獲得目標>="政府が掲げる花粉症対策の草案を提出すること"
<勝利条件>:
チームメンバーが役割と責任を明確にし、協力して取り組むこと。
首相の意図や目標を把握し、それに沿った提案を行うこと。
提出する草案が、国民の花粉症対策に対する不満を解消するものであること。
<中間目的>:
共通の理解を深め、意見の共有を促すこと。
花粉症対策に必要な情報を収集・分析すること。
国民が求めるニーズに沿った提案を行うこと。
<施策>:
チームメンバーの専門分野を把握し、各人が担当する分野を明確にすること。
花粉症対策に関する国内外の情報を収集・分析し、チーム内で共有すること。
国民にアンケート調査を実施し、花粉症に対する不満や要望を把握すること。
インターネット上での情報発信や広報活動を行い、国民との対話を促すこと。
考察
あいかわらず、うまくいかない
ここから先は、プロンプト職人的な技術が必要なのかもしれない
ちなみに
提示された回答の、一部を掘り下げる形での連続問答はどうだろう?
プロンプト
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「花粉症対策に必要な情報を収集・分析すること」の中間目的に関して、専門医ならではの視点で、より具体的で素早く、高い成果を挙げられる施策を提案してください
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A.
中間目的: 「花粉症対策に必要な情報を収集・分析すること」
勝利条件: 花粉症対策の提案に必要な情報を収集・分析し、統合した上で提案書を作成すること
施策:
1.研究論文の収集・分析: 花粉症に関する研究論文をオンラインで検索し、主要な発見やトレンドを把握することが重要です。このため、PubMedなどの専門的な文献検索サイトを利用し、必要な情報を抽出し、要約することで、より詳細な情報を収集できます。
2.インタビュー調査: 花粉症患者や医療関係者へのインタビュー調査を実施し、花粉症の症状、治療法、市場動向などの情報を収集することが重要です。また、各地域の花粉症対策の取り組みや、政策的な動きについても調査することで、より多角的な情報を得ることができます。
3.データ分析: 過去の花粉症の発生状況や市場動向などのデータを分析することで、将来の花粉症の予測や、対策の方向性を明確化することができます。また、SNSやオンラインコミュニティでのトレンド分析など、デジタルデータを活用した分析も有効です。
4.専門家ワークショップ: 花粉症に関する専門家によるワークショップを実施し、意見交換や情報共有を行うことで、より高度な情報収集が可能になります。また、花粉症に特化した病院やクリニックの医師や看護師など、関連する専門家との連携も重要です。
考察
勝利条件がアップデートされた(これは期待していた挙動ではない)
かなり具体的にリクエストの仕様をしているつもりなんだけど、しばしば誤解が生じるのはなぜだろう?
内容としては、具体性が増したといえば増したが、専門医ならでは、とまではいかない
もう少し考察
誰でも思いつく設計解を提示されても、なぁ、、、
最初は「AIすごい!」の感動で誤魔化されるのだが
すぐに慣れてしまうのが人間の怖いところ
個人のハイプ・サイクルの周期が短すぎる
世間の評判を聞く限りでは
司法試験やら医療の専門試験に合格した、みたいな話も聞くのだけれど
アプリオリな知識や専門用語を扱うものには、強い、ということなのかしら
全く別のことで試した印象だと、そのあたりは、なんとなく、そうなんだろうな、という気はしている
プロジェクト設計力としては、「めちゃくちゃ安定してスピード感のある新卒レベル」という感じ
顔が見えない、個性が見えない
意志、というものが、はっきりしない
「おまえは、どうしたいんだ!?」という感じ
まぁ、AIにそれを求めるのが、おかしいのかもしれないけれど。
もしかしたら
廟算八要素の記載粒度や詳細度、具体性を高めてみるとどうなるか
そこは試してみたい
ざっくりとしたオーダーだから、ざっくりとしか答えられないのかもしれない
さておき、ユースケースとして
個性的で創造的なプランの提示を求めるのは、なかなか厳しそう
一方で、専門的で具体的なアイデアの提示を求めるのも、なかなか厳しそう
見習いPMにとってのコーチやアシスタントとしては、十分機能しそうではある
エキスパートからすると、わざわざ聞きに行く手間と、返ってくるメリットがバランスしない感覚
英語でやれば、また性能が違うのかもしれないけれども
ことプロジェクト設計をテーマにした場合、「もっと安定した完璧な新卒」みたいな感じになるんじゃないか
将棋AIは、かなり異なる展開を見せているのだろう
なにしろあちらは、「エキスパートの目からして、違和感満載なのに、強い」という世界
こちらは、「違和感が全然なくて、普通(時々ものすごくデタラメ)」
自然言語を扱うAIと、純数学的なゲームを扱うAI
それぞれ、異なる課題、テーマに直面しているのでしょう
一方、別の切り口の懸念ももたげてくる
一部界隈で広がる「AI礼賛」ムード
興味のないことは学ぶ必要がない、AIに聞けばいい、的な発言が、ちらほら観測される
ことプロジェクト進行の領域で、AI頼みで生きていくと、真の意味の馬鹿になってしまうだろう
自分で考えられない
自分で決断できない
間違いを鵜呑みにする
それを周囲にも強要する etc
ふと、士郎先生の、往年の名台詞を引用したくなった
https://assets.st-note.com/production/uploads/images/60901457/picture_pc_8057cce433fd065e660bf88ffd649759.png?width=800
©️士郎正宗
一連のテストを踏まえて、chat GPTの社会に対する影響について、整理しておく
大規模言語モデルの直接的な脅威にさらされるのは
アプリオリな知識や専門用語を用いて、一見有り難げな専門サービスを提供しているルーチンワーク稼業の方々、なのだろう
そのなかでも、法規制に守られ、高給を得ている人たちで
かつ、言語的な成果物を生業にしている人たち
その萌芽はすでにある
ただ、こうした例も、お金をどうしても出したくない、惜しみたい人のためのものであろう
AI活用して自前で難しいことをやるよりも、人間にやってもらった方が楽、という局面も多い
それよりも心配なのは、「AI万能主義の素人」の存在で、むしろその方が怖い
専門サービスを使いながら、AIも併用する、みたいなケースが、一番ありそう
AIはこう言ってますけど!みたいな
そう考えると、AI活用して、自分なりにちゃんとひとつのことをやり遂げるなら、それはとても立派な話で
それ以前、それ以下の事案が、この先の世に溢れることだろう
まぁ、Google先生の進化版が現れただけ、とも言える
いま風にいうと、変異株、というところか
ウィズAIの時代…
さておき
キックプ譜にAI連携機能を実装する場合は、このあたりをどう考えるか、をテーマにすべきだろう
ユーザーは「楽できる」を求める
でも、人間、楽ばかりをしていては、プロジェクトの思考力は、磨かれない
キックプ譜は、人間の成長につながるサービスでなければならない、と、断固として考えたい
一方で、「楽できる」を期待してくれないと、人は使ってくれない
まさに、トレードオフである
そこを高い次元で解消するのが、サービス設計者の務めなのだと思う
一方で、あんまりそこまで突き詰めても、行き過ぎちゃうかもしれないので
考えるのはほどほどにして、実装してみようぜ!ということも、まぁ、あってよいとも思う
そのあたりは、引き続き、情熱的にディスカッションしながら、考えていきたい