運を引き寄せる成功の極意(桜井章一)
https://gyazo.com/8c06e39c87904dbdba75511e5c4cb461
ある日、本屋で目が合ってしまい、なんとなく目を合わせたい雰囲気ではなかったので、最初、通り過ぎたが、フロアを一巡して再会し、手に取ったのが運の尽き、羽生さんがインタビュアー(!)ということで、これは買わざるを得ないかなと思って購入したら、引き込まれて、一気に読んでしまった。
️まず言いたいこと
本のタイトルとメインビジュアル、キャッチコピーが、中身を全然語っていない
わざとそうしているのだろうか
羽生さんの推奨コメントのみが、中身とちゃんと照応していた
麻雀はルールが覚えられないし、独特な雰囲気にずっと苦手意識があったのだけれど、やったら面白いんだろうなぁとも思った(やらないとは思うけど)
️感想として
考え方が、ものすごくしっくりときた
とにかく、自然体、等身大、綺麗なもの、鮮やかなもの、場との調和を大切にする、ということを大切にしていて、汚いもの、強欲的なもの、暴力的なものが好きではない、ということ
勝ち負けと、勝ち負けの先にあるもの、というテーマ設定
自分がわかったことを、いかに努力して言語化しても、伝わらないということへの諦念
それはそれとして、言語化や教化をあきらめるわけでもなく…というバランス感覚
️この人は自分とは真逆だなと思ったところ
危険がとにかく大好きだ、ということ
️純粋に疑問に思ったこと
賭け麻雀って、違法ではなかったのかしら
それとも、殺されるかもしれないような修羅場でも、違法性に触れないように、コンプライアンスを徹底しているのか
それをクリアしたとして、じゃあ税務処理ってどうしているのだろう
️穿った見方をする
桜井氏の名前はもちろん知っていたが、著書を読んだことはなかったわけだが
数々の不思議で強烈なエピソードが、本当にあったことなのか
それともこれは、「キャラクター」なのか? 「叶姉妹」、的な…
色々な状況から推察すると、前者なのだろうと思うのだが、不思議でならない🤔
️将棋と麻雀
将棋には運の要素はまったく介入せず、麻雀は運の要素が強く介入する、と、一般的には、言われる
しかし、棋士と雀士は仲がいいし、両方やるし、両方強い人も多い
本書をきっかけにして、運とはなにか、実力とはなにか、を考えていくのも面白い
将棋の一局は、確かに、本人たちの意思決定のみで構成される
しかし、そこには観客という他者の存在が介在している
振り駒にも、運の要素がある
そもそもを言えば、将棋を指す才能や、それを伸ばす環境に恵まれたか、というのも、まさしく運の賜物
将棋に運の要素がまったくない、という見方は、スコープを極限しているから言える
逆に、確かに麻雀には運の要素も大きいが、自力というものがゼロであるわけがない
いや、スコープを極限して、指し手のことだけを見たとしても、人間は、あらゆる変化を読んで指し手を決めているわけではない
無限に開いた可能性から、これかなとえいやで決めた一手を指している
もちろん、形や筋といった概念を援用することで、あるいは定跡という知識、大局観と呼ばれる直観力によって意思決定をしているわけだから、自力の要素は大きい
だが、大きいとはいえ、将棋とは、例外事象の無限集合である
えいやで指し手を決めることは、サイコロを振ることに、どこか、通じるところがある
というよりも、素人の将棋に限っていえば、実際にサイコロと大差ない
そういうことを考えると、運という要素において、対極的に見える将棋と麻雀は、地続きのものに見えてくる
️AI・藤井聡太以前と以後
本書は2012年ごろの本の新書版とのこと
いま、あらためて出すことは意義深いことなのだろうと思うと同時に、いま、ふたりが再び語らったら…という想像もしてみたい
明らかにこの10年で、本書の基調としてある、人間が自然から分離してしまったことへの原罪感、因果論や人工物が抱える矛盾が、より一層深まっているわけなのだけれども、その文脈のなかで、この思想は、なお一層輝くはず、なのだと思うのだけれども
️本書の改題について
本書は、2011年に刊行された「運を超えた本当の強さ」(日本実業出版社)に加筆修正を加え新書化したものである
14年の時を経て、運を超えた、から、運を引き寄せる、に改題されたのは興味深い
運に対して、謙虚になっている
️あらためて、己の来し方を思う
自分が褒められたくて仕事をする、というのは、常に悪手で、いかにフラットに、自然体で、等身大であるか、計画や策に溺れず、フラットに、柔軟に、即興的にある、ということが、大事なんだ、ということを、この数年で思うようになったのだけれども、本書を読んで、間違っていなかったような気がする。
行く末を思う
桜井氏は、思いを大切にせよというが、重くしてはならない、とも言う
つかむのではない、触れるのだ、と
身体を柔らかくたもち、かつ、軸を持つ
やわらかさと軸があるから、大きな力が出る
振り返ってみると、自分は、どうも、重くなりがちである
#価値創造の思考武器