より良い獲得目標と勝利条件を見出すことのメリット
より適切で、的を射た獲得目標と勝利条件を、見出すと、何が起きるのか。
一言で言えば、局面が良くなる、ということである。
では、局面が良くなる、とは、どういうことか。
葛藤が昇華され、何か新たな方向性が見出される。
苦役的な作業が軽減され、負担が軽くなる。
歓迎すべき想定外を呼び込む場の準備が整う。
それは、その取り組みに関わる全員にとっての善きことである。
より適切で、的を射た獲得目標と勝利条件を見出すのは、その取り組みに関わる関係者のうち、誰かひとりでも構わない。見出した内容を、説明したり、根回ししたり、合意形成する必要も、特にない。ことさらに、声高に語る必要もない。「認識に至る」ということだけがあればよい。そして、その認識に基づき、必要なときに、必要な形で身体が動けばよい。
プロジェクトワークにおいて「実態が計画に遅れを取る」ということが、しばしば問題にされ、またその問題を解消するために「遅延を発生させる原因を取り除けば良い」という誤った対処方針が目指されることが多いが、それは、いわゆる問題解決的な思考の誤った適用である。プロジェクトワークにおいて、計画と現実の間のギャップは、そしてギャップをもたらす原因は、無限に存在する。計画に追いつくことが、プロジェクトの成功要因とは限らない。過渡的綱領として設定した「将来のゴール」はあくまで方便である。なすべきは、いま・ここ・目の前・この瞬間の、局面を良くする、ということだけである。そして常に、人間が指せる手は、一手だけである。ゆえに、急所を見定めなければならない。
獲得目標と勝利条件をより深く考えるということは、局面の急所を考える、ということである。そこに固定化された内実としての正解が存在するわけではない。そのような観点に立って、考え続け、動き続けることにこそ、意味がある。