第264回「アドルノの音楽哲学」
#例会
【開催】2025年3月15日(土) 新大阪例会(Twipla)
【発表者】hiroponさん( X: @trevenian )
【発表概要】アドルノは音楽哲学と呼ぶべき著作を多く書いており、論じられている作曲家も数多いが、今回特に注目するのはシェーンベルクです。「新音楽の哲学」という本では、シェーンベルクとストラヴィンスキーという当時革新的という評価を得ていた作曲家二人が取り上げられている。シェーンベルクを取り上げた論文が一つ、ストラヴィンスキーを取り上げた論文が一つ、まず書かれ、これらを一冊の本にまとめるにあたり序論が書かれている。そういう構成の本です。この本に入っているシェーンベルク論を理解したいというのが、今回の発表の主眼なのです。
哲学道場_音楽哲学2025年3月.pdf
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レジュメ増補版です。
哲学道場_音楽哲学2025.3.15.pdf
ふかくさ「アドルノによるシェーンベルクという作曲家の位置付けと、その音楽に対する哲学的考察……とはいっても、シェーンベルクの作曲形式や新規性が時代性や作家が新たに表現したかったことに結びついているのだろうという内容だと受け取った。アドルノとしてはシェーンベルクがいかに古典的な形式から逸脱しているのか、その意味は何か、そこからどこに継承され、『新音楽』という形式にどのように寄与したかを考察したかったと思われるが、シェーンベルクは作曲家として一定の形式を伴って曲を完結させざるを得ず、従来の形式の中におさめる必要もあったと思われる。ふかくさとしては、哲学とは形而上学であり無時間的な記号列によって、あるいは無時間的な概念において記述されるべきものであるが、そこに時間を本質とする音楽というものをどのように研究対象として落とし込むかに関心が向いた」
hiropon「当時新奇な不快な音楽と見られることの多かったシェーンベルクの、音楽史的正当性を述べたのがアドルノの著作である。哲学という無時間的な思考に音楽を馴化させるには、やはり楽譜とそれを読める人間の存在は欠かせなかった。」