社会理論
社会理論の例
社会理論とは社会に関する理論のこと。現代哲学(現代思想)も含める場合がある。
古代ギリシャ哲学:プラトンの国家論、アリストテレスの政治学・倫理学など。
社会契約論:ホッブス、ロック、ルソー。カントを加えることもある。近代の政治学的な国家論。
スコットランド道徳哲学:アダム・スミスの経済学に結実する経済学の源流。ハチスン、マンデヴィル、ヒュームなど。
ミクロ経済学一般均衡論:アダム・スミスに端を発する新古典派経済学(リカード、ワルラスからサミュエルソンへ)は数理を重視
ケインズ理論:マクロ経済学。統計データ間の相関関係をみる。有効需要の創出で有名。データサイエンスとの関係は??
シュンペーター理論:新結合、創造的破壊、イノベーション概念の祖。経済学というより経営学に影響を最も与えた。
マルクス主義経済学:マルクスによる価値形態論、資本論、生産性向上と生産関係の矛盾としての階級闘争の歴史など
社会学理論:ウェーバー、デュルケム、ジンメル、パーソンズ、マートン、ルーマン、ギデンズ、ブルデューなど。
現代リベラリズム(公共哲学・正義論):ロールズ、ノージック、ドゥオーキンなど狭義には正義論。社会契約論の現代版(社会的選択理論やゲーム理論がベースにある)。数理が強いA.K.センも含める。ノージックはリバタリアニズム(自由至上主義)の祖。リベラリズムはもちろん古典的な自由主義。
コミュニタリアニズム(公共哲学・共同性論):チャールズ・テイラー、ウォルツァーら。サンデルの「負荷なき自己」というリベラリズム批判が有名。経済学的背景をもつリベラリズムより社会学的。自由を尊重した繋がりがテーマ。
5分でわかる正義論 はコミュニタリアンとしてはサンデルよりも、チャールズ・テイラーをあげておくべき リベラル・コミュニタリアン論争:サンデルがロールズに対する負荷なき自己批判ではじまった。
政治的コミュニケーション理論(公共哲学):ハーバーマス、アレント。デリダやルーマンも含めうる。
ルーマン・ハーバーマス論争:「システムが生活世界を植民地化している」というハーバマスの吹っ掛けではじまった。
構造主義:フランスの現代思想で、レヴィ=ストロース、フーコー、ラカン、アルチュセールが四天王とよばれる。ロマン・ロランなども関係。
ポスト構造主義:デリダ、ドゥルーズなど。浅田彰『構造と力』などの解説本に。ただこの本はバタイユ重視。
システム論:第一世代のベルタランフィの一般システム論から、ウィーナーのサイバネティクス、第二世代の化学者プリゴジンの散逸構造論、今田高俊や吉田民人の自己組織性論、第三世代のヴァレラ=マトゥラーナのオートポイエーシス理論まで。ルーマンの社会システム論は、第三世代の社会システム論であり、最も洗練された社会学理論。デリダの脱構築とルーマンのコミュニケーションはほとんど同じことをいっているが、用語系に慣れたらデリダよりはるかにルーマンのほうがわかりやすい。
日本の批評家:柄谷行人、浅田彰、東浩紀など。吉本隆明、江藤淳なども。日本の知的文脈では、新しい思想は文芸批評化によってもたらされる。日本のアカデミズムはやはり精緻な議論が多く、大雑把なものが許されないため、論壇が社会思想の生産拠点だった。社会理論といえるほど精緻ではないかもしれないが、大局を掴むものとして有用。地域通貨を含む形で展開されたNAMは柄谷が参加した社会運動として異色。