社会システム科学
社会システム科学の位置づけ
芝浦工業大学 システム理工学部は、システム工学を必修としているが、システム理工学という概念はあまりない
システム理工学は、下記のようにも考えられる(一試論)
システム理工学=システム工学+システム科学
社会システム科学 ⊆ システム科学
社会システム科学=社会科学 × システム科学
社会科学=政治学・法学+経済学・経営学+社会学・哲学+心理学・社会生物学+…
システム工学:システム(仕組み)の観点から既存の各分野からなる工学を横断する枠組み
システム科学:広くいえばシステム工学を含むが、数学・情報科学・生命科学など真理を追究する理学分野に近い
システム論は哲学的であるが、サイバネティクス、自己組織性、オートポイエーシスなど、情報科学と生命科学の両方にまたがる
GA(ジェネリック・アルゴリズム)などの計算機科学も生命科学(人工生命)の要素がある
広く言えば、物理学、ミクロ経済学、ゲーム理論、ネットワーク分析、複雑系、記号論理学など数理モデル分析はシステム
フォン・ノイマン、ゲーデル、ラッセル、ウィーナー、サイモン、サミュエルソン、A.K.セン、アクセルロッドといった学者をシステム科学者と考えてもよい(すこし数学によりすぎかもしれない)
社会システム科学:ゲーム理論、ネットワーク分析、複雑系、ミクロ経済学、数理生態学、現象数理、数理モデル、社会シミュレーション、データサイエンス、統計学…
社会システム科学とソーシャルイノベーション
社会システム科学は透明であり、社会を変えようとする動きとは本来は水準が異なる
しかしコンピューターを用いるシステムデザイン分野(サイモン)などでは、この両分野に接点がある
慶応SFCの井庭崇は情報科学と社会システム理論の立場からパターンランゲージをデザインに生かしている
東工大ABSSS代表だった出口弘はイノベ―ティブな人物であり、惑星的思考をされていた 『ボランティア』の動的情報やネットワーク組織論を展開した工学者の金子郁容は団塊の世代のソーシャルイノベーターといえるだろう 今日のGAFAM時代よりはるか以前、古いアメリカ西海岸のハッカー文化はヒッピーなどのソーシャルムーブメントに近かった。また、リナックスのオープンソースのカルチャーやフリーソフトなどは、名声という報酬はあれども、経済的報酬のないボランタリズムであり、ソーシャルイノベーションの精神と通底している。 ネット社会が到来したように(ICT革命)、コンピューターとイノベーションは深い関係にあるため、計算機科学者たちがソーシャルイノベーターに近いのは偶然ではないのだろう。今日でも慶応SFC(環境情報学部・総合政策学部)などに社会システム科学とソーシャルイノベーションの関わりをみることができる。
システム科学における領域横断性は、新結合やイノベーションと非常に似ている。ある角度からの問題や切り口によって既存の分野を繋いで総合していくシステム科学は、クリエーションであるだけでなく、社会に新しい「物の見方」を提供するという意味でイノベーティブなのだろう。