avasheによるジョジョリオンネタバレ感想
これは「呪い」を解く物語――
その始まり――「呪い」とはある人に言わせると、自分の知らない遠い先祖の犯した罪から続く「穢れ」と説明する。
あるいは―――坂上田村麻呂が行った蝦夷征伐から続いている「恨み」と説明する者もいる。
また、違う解釈だと人類が誕生し、物事の「白」と「黒」をはっきり区別した時にその間に生まれる「摩擦」と説明する者もいる。
だが、とにかくいずれのことだが「呪い」は解かれなくてはならない。さもなくば「呪い」に負けてしまうか・・・。
荒木飛呂彦(2011)『ジョジョリオン』第1巻 集英社 より冒頭、広瀬康穂によるモノローグ
7部からモノローグによって何の物語であるか宣言されるようになった
本作は広瀬康穂のモノローグによって始まり、締めくくられる
avashe.icon本作はジョジョ最難解なので思い付きをダンプして後でまとめる
全力ネタバレです
前提として、私はジョジョを運命論的世界観とそこで生きる人間の態度の話として理解しています
まだ飲み込めてないシリーズ
「呪い」とはなんだったのか
これは6部から読み直したい
勿論作中としてはつるぎの呪いのことだが...
作中の「等価交換」も呪いの一種なのではないか
それは運命の帰結を受け入れず他人に「災い」を押し付ける行為
冒頭引用にある物事の「白」と「黒」を分離する力とみなせる
「夢」と「思い出」の違い
ジョジョ「リオン」によってもたらされる福音とはなんだったのか
康穂が家族それぞれが希望に向かっていると独白するように、家族という共同体に黄金の精神の兆しが広がることが福音なのかなと
倫理より共同体を重視する「大統領的思想」の系譜
東方家内における花都一派のこと
花都の倫理よりも家族という発言の他、精神力の発現であるスタンドがもろ大統領の挟みこむ能力に重ねている所から
常敏の「正しい道」
共同体外の他者を犠牲にするので「後には戻れない」
大統領的思想を実践した花都と常敏は子供のつるぎを生かすという結果を手に入れたが、大きい代償を払うことになるのが印象的
等価交換という超越的な
「災い」「厄災」は攻撃的で破滅をもたらす、逆境としての「運命」
「災い」は「禍い」とか「厄い」とか表記ゆれが激しいが、
その具現化としてのワンダー・オブ・U
「ジョジョのボスのスタンドは時空間に関連する能力だ」という言説は昔は合っていたが、ジョジョリオンで決定的に変わった
現在では「運命に作用する能力」という書き方が正しい
5部では自身の運命(因果論的帰結)の予知と、気に入らない帰結をなかったことにできる能力
6部では人類が自身の運命を予知できる世界へ移行する能力
7部では自身の運命の帰結を他人に押し付ける能力(D4Cラブトレイン)
8部では「災い」(この世に存在する逆境としての運命)を利用し、自分を脅かそうとする他者に被らせる能力
いずれも運命の帰結に対する都合のいい改ざんであり、これが悪として扱われる
過程よりも結果を重要視する態度が悪として扱われる。これはDIOからずっとそう
運命は「条理」の世界で見られる現象であるという前提
「災い」の反撃を受けないということは「条理」の世界から外れているとワンダー・オブ・U(透龍くん)が言ってる
形而上学的宿命論
条理の外を通過する「回転」の力
回転自体はモチーフであり、回転が象徴する意味はそれが発生した経緯が重要
つまり7部のジョニィがact4発言時に言及する「なんて遠い回り道」であり、7部の旅路の意味にかかる
これは5部の警官まで遡る運命論的世界観において推奨される態度のことであり、黄金の精神のことです
血脈から家族へ
ジョジョにおいて血族は精神性を継承している
定助が本当の東方家の家族になるエンド
ミームとしての「黄金の精神」の継承
要確認: 星形の痣は「使命」の証であり、ジョースターの血統が常に痣を持つわけではない?
星形の痣は「使命」の証と8部最終エピソードでルーシーが言う
急に星形の痣が浮かび上がりうることは6部で描かれている
考えがバラバラだけど緩く同じ方向を向いている家族のあり方を描いたとも言えるが、一方で、「黄金の精神」が個々人から家族という共同体に広がっていくのを描いたとも言えそう
もしそうなら9部の仮題"JOJOLANDS"は示唆的で、共同体への広がりを感じさせる
7部で一つの国の成り立ちが、8部が家族(血の呪い)と土地がモチーフに来ているので
「岩」について
石仮面、柱の男、スタンドの矢、悪魔の手のひら、壁の目、岩生物
脅威でもありながら、炭素生物である人間へスタンド(7部では「立ち向かうもの」、8部では「心の力」)を与えるのも岩側
硬く、乾いている <-> 柔らかく、湿っている
ケイ素生物と炭素生物
作中で言われているように敵というよりは生命種のバックアップ
8部が7部の補足になったように、9部で明確になることもあるんじゃないかな
6部や7部のラストシーンは後から納得されるものであった
一巡前でもジョニィはジョナサンと同じく頭部を失っている(=同じ帰結をたどっている)が、定助は二人が融合することで4部仗助とは異なった運命にずれた特異点なのではないか、という解釈もある
これが本当なら、9部は血縁と個人の問題から開放されてどこまで広がるのか楽しみ