資料1-04 解題
#168
【資料1-04】
《解題》
「豊陵新聞」168号は、前号(167号)の回収に続く6~7月の激動とその後の夏休みを経た2学期の開始後、1969(昭和44)年9月24日付けで発行された。
発行部数は、前号と同じく1,550部。原資料の本紙体裁は、ブランケット判・活版印刷、計6面で構成されている。
以下では、本168号の紙面から、表題の見出しのもとで1面トップに掲載された「事件」の記録・ドキュメント部分のテキストを基本資料として収録するとともに、あわせて、同紙2面に掲載された編集局による(9月時点での「中間総括」とされる)論説文と1面コラムの随想文、および4~5面の見開き全面を使って掲載された「写真特集 新生・豊高の胎動」に付されたテキスト文を、【参考資料】として採録した。
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これらの中心となる「記録・ドキュメント」部分では、7月の警官導入の翌8日以降、10日の糾弾集会を挟んで、期末試験の「中止/断行」をめぐる全校的討議からテスト・ボイコット闘争への展開、そして7月19日の終業式に至るまでの緊迫した日々の出来事が、個々の日付を追って詳細に記録されている。
こうした“豊高内部の闘争”の時期を「記録」として掲載した編集局の側からみると、先に「有志局員」の自主制作により発行された冊子『豊陵新聞167号「論説」事件の記録』(vol.1~2)【資料1-02~資料1-03】が対象とした、前167号の発行から警官導入までの時期の「記録」を受けて、それらに続く事実上の──すでに予告されていた──「第3巻(vol.3)」として位置づけられていたことがうかがわれる。
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なお、この「記録・ドキュメント」部分や【参考資料】に示した各資料をはじめとして、本168号の編集・執筆は、当時1・2年生(高校23・24期)の局員を含めた編集局全体の分担・協業体制により行われた。
自主制作の「記録」冊子を発行した3年生主体の有志局員を中心に、夏休み中から企画・討議を重ねてきた“新体制”による成果とも云えようが、期せずしてここには、激動の「6・7月闘争」の直接体験とその後の“内省”の時を経た豊高生一人一人の確かな意識変革(自己変革)への歩みが、いまだ萌芽ではあるが生き生きとした文章で表出されていて、いま再読しても胸に迫るものがある。
あたかも、これら豊高生それぞれの主体変革への潜勢力がなお“臨界”を超えようとするかのように、「事件」以前の日常への回帰=“正常化”に対する異和や自問、そして反発とが交錯する〈1969年秋〉の情況のなかで、11月ハンスト闘争以降の「闘争」の継続が準備されていくのである。 (佐々木記)
資料1-04 解題
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