今後の展望
今後の展望としては①整理②展開③特化の3方向のベクトルが考えられる。
① 整理:文章理解→文章産出の流れを1年間のスパンに計画的に配置するような整理が必要
本稿の実践を通して、文章理解のためのQNKSと文章産出のためのQNKSを段階的に接続して、教科横断的に指導を展開するという大まかな流れが見えてきた。今回の実践はQNKSを使うことで子どもたちの中でどのような活用法が生まれるのかということを探索しながら指導を展開していった。QNKSの文脈で言えば、Q→N→K→N→Kといった展開であったと言える。よって次の展開は全体の指導計画を見直し、指導計画として整理(S)する必要があると考える。次の実践では意図的構造的に整理された指導計画のもと実践することでより広く深くその効果を児童にもたらすことを狙う。→やってみよう!QNKS思考法 ② 展開:探究活動
結果と考察では、文章産出過程としてのQNKSは探究的思考との類似性が示唆されていると述べた。実際に子供たちのノートではときに哲学的とも見える思考をしている姿も見られた。このベクトルにおいて、QNKS実践を展開させていくことが求められる。
③ 特化
3つ目のベクトルは「特化」である。上の2つのベクトルはより計画的に広範に渡ってQNKS理論の適用範囲広げようとするベクトルであったが、それとは逆に部分特化し、狭い領域に強く効果を発揮させるような実践として進化させることも考えている。具体的には「文章産出」に特化したQNKS理論に基づくワークシートの開発である。実はコレに関しては既にプロトタイプがあるので、後は実践するだけという段階に来ている。また、①整理のベクトルにおいて、今回の実践では指導展開に少し飛躍していると感じられる箇所がある。それが、書く活動に入った時の「小論テスト→作文」という流れである。小論では実質オリジナリティを発揮する部分はNしかないと述べたが、そこからQNKSのすべてを委ねる作文活動へとつなげるには少し飛躍があると感じられるのである。
そこでこの「文章産出に特化したワークシート国語の幹」が挿入されると、小論テスト→文章産出ワークシート→作文という展開が可能となり、より段階的にレベルを挙げていくことができると考える。