クラウドソーシング
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Amazonは2005年からMechanical Turkというクラウドソーシングサービスを提供しています。ネット上の誰かに仕事を頼むための仕組みで、Mechanical Turkは世界初の大規模なクラウドソーシングサービスです。Mechanical Turkの存在は有名になったものの、2014年現在、米国に銀行口座を持っていないと仕事を依頼できないため、日本で実際に利用したことがある人は少ないと思われますが、実際にクラウド上で様々な仕事が依頼されたり請け負ったりされているということは画期的です。 クラウドソーシングサービスを様々なシステムのユーザインタフェースに利用しようという研究が米国では最近流行しています。ユーザテストに利用するというのが最も手軽な例ですが、コンピュータと同じような機能をネット上の誰かに依頼してしまうという試みも盛んになっています。たとえばMITで開発されたSoylentというシステムでは、Wordの編集メニューに「段落を短くまとめる」のような項目が追加されており、ユーザがこれを選択するとTurkitというライブラリを利用してMechanical Turkへの発注が自動的に行なわれ、世界の誰かが段落を短くまとめてくれるようになっています。 クラウドソーシングの活用に関する研究や論文は近年かなり増えており、最近のユーザインタフェース系の学会では必ずクラウドソーシングのセッションがあります。コンピュータに対する指示とクラウドソーシングの発注が同じレベルで実行できるというのは実に面白いことですが、世界の誰かを安い金でコキ使っている印象もあります。Mechanical Turkの仕事を請けることは誰でもできるので自分で実際に試してみたことがあるのですが、日本に関連した文章の説明が適切かどうかを英語で答えるという結構大変な仕事をみっちり1時間作業した結果、報酬$1.80をいただくことができました。先進国の人間でこんな金額で仕事をする人はいないでしょうから、Soylentのような仕事を請け負うのは発展途上国の人間しかいないでしょう。こういうシステムを作ったり使ったりすることには疑問を感じてしまいます。
とはいうものの、日本語が得意でかつ激安の給料で働いてくれる人間が大量にいるような国が世界のどこかに存在したとすれば、そういう人達にいろんな雑用を発注したくなることは間違いありません。英語が得意でかつ激安の給料で働いてくれる人間は世界に大量に存在するでしょうから、アメリカ人にとってはそういう人々をクラウドソーシングという名目で搾取することが気にならないのかもしれません。世界の誰もが得をするような形でクラウドソーシングサービスが発展してほしいものだと思います。