正統的周辺参加
正統的周辺参加(LPP)は、実践共同体において新参者がどのように学習をおこなうかを表したモデル
レイヴ&ウェンガーによって提唱された
実践共同体(=実践することがなにかある共同体)に正統的に(=正規のメンバーとして)迎えられた新参者が行う周辺参加(=難易度や責任が限定されているが、実践の成果になんらかの貢献をする行為)
仕立て屋の場合→ アイロンがけ, ボタンつけなど仕上げの工程に近いもの
正統的周辺参加では、学習を「知識の獲得」ではなく「アイデンティティの変容」と捉える
弟子がいつのまにか親方っぽいアイデンティティを獲得していたら、その弟子は学習が進んだと見做せる
正統的に(=正規のメンバーとして)参加していることが、ただの「周辺参加」と区別される
新参者の実践共同体への参与のしかたは、徐々に正統的周辺参加から十全参加へと移行していく
いわゆる「一人前」というやつは十全参加といえるはず
レイヴ&ウェンガーの著書である状況に埋め込まれた学習で紹介されているが、この本はとても難解なので、ざっくり雰囲気を掴むのによさそうなページをいくつかあげておく
人は社会との関わりあいのなかで学ぶ:People learn by interacting with society
組織が「一人前」になるための学習軌道:連載「組織学習の見取図」第5回 | CULTIBASE
以下の書籍でも正統的周辺参加について解説されている
生き方の人類学
正統的周辺参加は(状況論革命以前の)認知科学と社会科学でそれまでばらばらに研究されてきた「(個人的な)認知過程としての学習」と「社会的な過程としての学習」を統合する、いわば学習の統一理論として20世紀末の認知科学/心理学/社会科学においてマイルストーン的な存在となったが、カバーしきれていない点も多く、さまざまな研究者が修正を試みている。
田辺繁治は自身の研究(タイにおけるフィールドワーク)から、「権力」という要素を加えることを提案している
→ 生き方の人類学
高木幸太郎は、LPPが学習をアイデンティティの変容と捉えている一方で、アイデンティティの構築過程への言及が不十分であることを指摘し、LPPの拡張を試みている
→ 正統的周辺参加論におけるアイデンティティ構築概念の拡張 : 実践共同体間移動を視野に入れた学習論のため
See Also:
発達の最近接領域