学習科学
学習科学は、認知科学を背景に、人が賢くなる仕組みを見つけ,その仕組みを使って人がほんとうに賢くなれるかどうかを確かめながら、科学的理解に基づいた質の高い実践を目指す科学です。 「人はいかに学ぶか」についての理論を作り、その理論がどこまでほんとうか、理論をもとに実践してみて、その結果から理論を少しずつよりしっかりしたものにして次の実践につなぎます。 例えば私たちは、人と一緒に問題を解くとひとりでは気づきそうになかったアイディアを急に思いついたりすることがありますが、その過程を詳しく検討してみるとそこにはちゃんとした仕組みが働いていることがわかります。
学習科学はこういう一見些細な過程も丁寧に検討し、そこから見つかる「賢さの仕組み」をうまく使って質の高い学習を導き出して行きます。 学習科学は学校教育だけでなく、家庭や職場で起きる学びも研究の対象にしています。これまでよりもずっと詳しく、ずっと長いスパンで学習を研究し、「人が一生をかけてどこまで賢くなれるか」について理論を作ることを目指しています。 学習科学ではまた、学習者が日常生活の場で「使える知識」を身につけることが学習の目標だと考えます。 活用できる知識とは、
・学んだ場以外に持ち出せて(portable)
・必要な時に使え(dependable)
・作り変えつつ維持できる(sustainable)
な知識です。人は場面が違うとことば遣いも違ったりするように、問題の解き方も時と場合で違ってくるのが普通です。だから、必要な時に使えるためには、「同じ知識のさまざまな使い方」を検討しておいたり、一度学んだはずの知識を時々取りだして「磨い」たりする必要があります。こういう学習はこれまで学校教育ではあまり重視されて来ませんでしたが、社会や環境の変化が激しい21世紀には必要な学習だと考えられるようになって来ています。 学習科学のスタンス
全ての人は学習者である
人は常に学んでいる
学習だと意図・意識したものだけが学習ではない
学ぶことは生きること、生きることは学ぶこと
学習科学の社会的意義
人は誰しも学習の経験があるがゆえに、人は誰しも自分は学習についてよく知っていると思ってしまう ゆえに、学習に関して思いのことを言ってしまいがち
適用範囲が自分ひとりを超えて学習に関して何か言おうとするとき、学習科学という体系があることだけでも知っていると、学習に関する無根拠な迷信に加担せずに済むかもしれない
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