21-02.受動文
このページでは受動文について説明している。
受動文
受動文とは、本来他動詞の目的語となる名詞が主語として表現される文を指す。
受動文は「コピュラ(da、sole)+受動分詞」によって表現される。通常通り、コピュラは文の主語に人称と数(そして敬意)が一致し、受動分詞は主語に数と敬意が一致する。
Ja lufes omle.
私はりんごを愛している
Omle dat lufentoi jili jao.
りんごは私によって愛される
デナスティア語の他動詞は本来、主語の位置にある存在が目的語の位置にある存在に対して影響を及ぼす動詞のことを指す。しかし、受動文では本来影響を受ける側である目的語の位置にある名詞句・前置詞句が主語の位置に繰り上がることが特徴である。
また、デナスティア語の特徴から付随する受動文の特性についていえば、動詞が主語に一致するという特徴がもたらす影響についても忘れてはならない。例えば、以下の例文を見比べるとその影響の一端を伺い知ることができる。
Picnones kelke.
私はガラスを割った
Kelke dat picnontoi.
ガラスは割られた(割れた)
デナスティア語の動詞は活用すると主語に数と人称が一致する。つまり、他動詞を使用する場合は通常であればその行為者が「私」や「あなた」などであった場合、いとも簡単に分かってしまう性質を持つ。その点、受動文は主語が行為の影響を受けたものに移動するため、文の主語に「私」などが出て来なくなる。自動詞と明確に異なる点には、例としてその背後に「誰か」の存在を暗示しうる効果を持つというものが挙げられる。
なお、受動文は本質的には形容詞の叙述文と同じ構文であるため、原則として形容詞と同様に受動分詞の数や対象への敬意が主語に一致する。
Efe omle dat klauntoi.
ひとつのりんごが食べられている
Omla daut klaunteo.
複数のりんごが食べられている
比較:形容詞文
Cun omle dat kudoi.
このりんごは赤い
Cun omla daut kudeo.
これらのりんごは赤い
受動文の制限
ただし、この時に主語となるのは必ずしも直接目的語とは限らず、間接目的語すなわち前置詞句の名詞が主語となる場合もある。
Ja gevnes omle feu cjao.
私は彼にりんごを渡した
Omle dat geventoi feu cjao jili jao.
りんごは私によって彼に渡される
Cja dat geventoi al omle jili jao.
彼は私によってりんごを渡される
ただし、上記のように直接目的語には前置詞alが必要となる。これには、もともと他動詞であった動詞が分詞となることによって名詞のように振る舞うようになり、直後に直接名詞を伴うことが原則としてできなくなるからである。
ただし、書き言葉としては不適当であるが話し言葉であれば、もとが直接目的語であった名詞を直接分詞に後続させることができないわけではない。
Cja dat gevent omle jili jao.
彼は私によってりんごを渡される
しかし、自動詞文の間接目的語は受動文の主語となることができない。
Ja muos feu Tzarilske.
私は王都に行く
× Tzarilske dat muntoi jili jao.
王都は私によって行かれる
受動文における行為者の明示
受動文は他動詞で本来影響を受ける側である目的語を主語の位置に据える文であることはここまでに説明した通りである。しかし、行為者の存在を明示できないわけではない。
Sun omle dat klauntoi jili jat nani.
そのりんごは私の姉妹によって食べられた
このように、前置詞jiliを用いることにより、その直後に本来の主語を明示することが可能となる。