02-02.名詞について
本ページでは、デナスティア語の名詞について解説している。
太字
名詞の一般的な解説
デナスティア語の名詞は一般名詞と固有名詞に分かれる。
一般名詞は主格(~が)と属格(~の)の二つの格を持ち、単数形と複数形を区別する。つまり、一般名詞は単数主格、単数属格、複数主格、複数属格の四つの形に変化する。
中でも単数主格は名詞の辞書形とも呼ばれ、他の三つの形は、例外なくすべて単数主格から規則的に導き出される。
「固有名詞」もまた主格と属格を持つが、こちらは複数形を持たないことも多い。
なお、属格以外の格は語順や前置詞などの組合せによって示される(さらにいえば、属格も前置詞と名詞の主格形を組み合わせて表現することができる)。
Litia kvat Milehcja. リティアがミレーシャを見る
Milehcja kvat Litia. ミレーシャがリティアを見る
デナスティア語の基本語順は「SVO(主語、動詞、目的語)」である。そのため、特に主語と目的語については語順を入れ替えるだけで意味が逆転してしまうので注意が必要である(このあたりは英語などに似ている)。
前置詞などを用いることで語順を入れ替えることもできるが、このあたりの詳細は前置詞のページに記述するものとする。
数と格の解説
デナスティア語の一般名詞が単数形と複数形、主格と属格を区別することは先に述べた通りである。
単数形:対象のものが1つだけある状態を指す
複数形:対象のものが2つ以上ある状態を指す
主格:通常では「~が」、「~を」、「~は」などと訳されるが、他の前置詞に後置されると別の助詞がついた意味に変化する、基本的な格
属格:基本的に「~の」と訳される。属格は必ず語末が「-t」となる
名詞の派生関係は以下の通りである
単数主格 → -t → 単数属格
↓
規則的な変化
↓
複数主格 → -t → 複数属格
名詞の変化
名詞は語形変化を起こす。これは固有名詞にも起こる。以下にその例を示す。なお、この変化表に書かれているものの中は実際には日常会話レベルの語彙で見られることが少ないものも含まれる。より実用的な使用頻度の高いものについて集めた表については、さらに下方にある表を参照されたい。
単数主格の語末 単数形属格 複数主格 複数属格 単数主格の語末 単数属格 複数主格 複数属格
-j(ただしjの直前がcでない) -jet -ja -jat -h以外の子音(-cj含む) -et -o -ot
-ai -ait -eih -eit -ao -aot -oa(-a) -oat(-at)
-au -aut -ao -aot -ea -eat -eih -eit
-ei(h) -eit -eo -et(-eot) -eo -eot -ea -eat
-eu -eut -eo -eot -ia -iat -eih -eit
-ieh -iet -eih -eit -io -iot -ia -iat
-iu -iut -io -iot -oa -oat -ai -ait
-oi -oit -eo -et(-eot) -ou -out -au -aut
-ua -uat -uai -uait -ueh -uet -ua -uat
-ui -uit -eo -et(-eot) -uo -uot -ua -uat
-ah -at -ai -ait -eh -et -a -at
-ih -it -eo -et(-eot) -oh -ot -oa(-a) -oat(-at)
-uh -ut -o -ot -a -at -ai -ait
-e -et -a -at -i -it -eo -et(-eot)
-o -ot -oa -oat -u -ut -o -ot
-alh -aht -ai -ait -elh -eht -a -at
-ilh -iht -eo -et(-eot) -olh -oht -oa(-a) -oat(-at)
ulh -uht -o -ot
名詞格変化実用表
名詞の変化はこれですべてである。が、はっきり言って分かりにくいので、以下に重要な部分だけを抜きだした表を作成する。
さらに、実際に頻出する単語は以下の表の中でもまた極一部であるため、以下の表に続いてそれらの具体例を示していく。
単数主格の語末 単数形属格 複数主格 複数属格 単数主格の語末 単数属格 複数主格 複数属格
-j(ただしjの直前がcでない) -jet -ja -jat -h以外の子音(-cj含む) -et -o -ot
-au -aut -ao -aot -eu -eut -eo -eot
-ia -iat -eih -eit -ai -ait -eih -eit
-iu -iut -io -iot -oi -oit -eo -et(-eot)
-ua -uat -uai -uait -ui -uit -eo -et(-eot)
-eh -et -a -at -a -at -ai -ait
-e -et -a -at -i -it -eo -et(-eot)
-o -ot -oa -oat -u -ut -o -ot
j幹名詞
j幹名詞とは、単数主格形の語末が「母音字+j」または「母音字+h+j」で終わっている名詞のことである。
日本語訳 単数主格 単数属格 複数主格 複数属格
妖精 feij feijet feija feijat
喜び klaj klajet klaja klajat
単数主格は-j、単数属格は-jet、複数主格は-ja、複数属格は-jatとなる。
子音幹名詞
子音幹名詞とは単数主格形がh以外の子音字で終わっている、j幹名詞以外の名詞のことである(-jで終わっていても、その直前がcで-cjのような形で終わっている場合は、子音幹名詞となる)。
子音字で終わる単語のほとんどすべてはこの子音幹名詞に該当する。
日本語訳 単数主格 単数属格 複数主格 複数属格
王 tzar tzaret tzaro tzarot
子供 jecj jecjet jecjo jecjot
魚 pan panet pano panot
本 jautap jautapet jautapo jautapot
口 lav lavet lavo lavot
語末の子音字をCとおくと、単数属格は-Cet、複数主格は-Co、複数属格は-Cotとなる。
注意すべき点として、例えばlavの発音はvがuに読み替えられる規則により/lo:/となる(まるでlauと綴られているかのように発音される)が、語形変化させる場合はvも子音として扱われるという点が上げられる。
ai幹名詞
ai幹名詞とは単数主格の語末音節の母音がaとiから形成される開音節(ai、ia)からなる名詞である。
日本語訳 単数主格 単数属格 複数主格 複数属格
村 pinai pinait pineih pineit
金 litia litiat liteih liteit
単数主格の語末の母音群(-ai、-ia)をVとおくと、単数属格は-Vt、複数主格は-eih、複数属格は-eitとなる。
実は、単数主格形が-iaで終わる名詞はlitia以外にほぼない。形容詞からの転用と思われる。
i幹名詞
i幹名詞とは単数主格が語末音節iで終わる開音節となっている名詞のうち、ai幹名詞を除いた名詞である。
日本語訳 単数主格 単数属格 複数主格 複数属格
尾 feni fenit feneo fenet(feneot)
精霊 esloi esloit esleo eslet(esleot)
鳥 tcjui tcjuit tcjeo tcjet(tcjeot)
単数主格の語末の母音群(-i、-oi、-ui)をVとおくと、単数属格は-Vt、複数主格は-eo、複数属格は-etとなる。
なお、複数属格は-eotとなる場合もあるが、あまりよいものとして歓迎されない。理由は、この-eoという形は対格に由来するもので(通称eo対格)、本来の主格は-eだったためである。語末のeが弱化したことで、本来の対格形が補充形として主格に充てられるようになった(その後代名詞を除いて対格は消滅した)。 a幹名詞
a幹名詞とは単数主格が語末がaとなっている名詞のうち、ai幹名詞を除いた名詞である。
日本語訳 単数主格 単数属格 複数主格 複数属格
お店 tana tanat tanai tanait
菓子パン cjukula cjukulat cjukulai cjukulait
単数主格は-a、単数属格は-at、複数主格は-ai、複数属格は-aitとなる。
e幹名詞
e幹名詞とは、単数主格の語末がeまたはehとなる名詞である。
日本語訳 単数主格 単数属格 複数主格 複数属格
鞭 caube caubet cauba caubat
花 fluhneh fluhnet fluhna fluhnat
単数主格は-e(h)、単数属格は-et、複数主格は-a、複数属格は-atとなる。
o幹名詞
o幹名詞とは、単数主格の語末がoとなる名詞である。
日本語訳 単数主格 単数属格 複数主格 複数属格
乗り合い馬車 koto kotot kotoa(kota) kotoat(kotat)
単数主格は-o、単数属格は-ot、複数主格は-oa(a)、複数属格は-at(oat)となる。
複数属格は二種類の形があるが、どちらでも問題ないとされる。
u幹名詞
u幹名詞とは、単数主格の語末がuとなる名詞である。
日本語訳 単数主格 単数属格 複数主格 複数属格
虹 maiju maijut maijo maijot
灯台 lustilau lustilaut lustilao lustilaot
単数主格は-u、単数属格は-ut、複数主格は-o、複数属格は-otとなる。
uの前に他の母音があったとしても、uのみが変化する。結果として母音上昇のuが消える場合もある。 また、単数主格が-euとなっていた場合、規則通りに複数主格とすると-eoという語形が発生する。しかし、これは主格でありeo対格ではないので、複数属格は-eotとなる。 固有名詞
固有名詞とは人名や地名などのことをいう。一般名詞と同様に語形変化を起こす。
ただし、それ自体が独自のものである場合が多いので、複数形を持たないことがほとんどである。以下は人名の例である。
単数主格 単数属格
Litia Litiat
Milehcja Milehcjat
Eilehneh Eilehnet
上述の通り、属格に語形変化させる際に、語末に変化がある場合がある。
固有名詞の注意点
例えば日本語には「太郎たち」のような言い方があるが、これは太郎が複数人いることを指すわけではない(そのような場合もあるかもしれないが)。
これについてはveih接辞を使用して表現されるが、ページをあらためて解説するものとする(→veih接辞)。