SSI2022 CIFS特別企画:“AI”時代のシステム学-現実とインテリジェンスとシステム学
CIFS特別企画 パネルディスカッション『“AI”時代のシステム学 -現実とインテリジェンスとシステム学』
開催日時:11月25日(金)17:00〜18:30 BLOSSOM CAFÉ3F 多目的ホール
企画:コンピュテーショナル・インテリジェンス(CI)部会・CIフォンスキエンティアWG
概要
深層学習のめざましい成果から機械学習に基づくAIが注目されて久しい。しかしながらマスコミ等による"AI"の理解や取り扱いには疑問の声もよく聞かれる。一方、取り扱うべきシステムはますます大規模、複雑化し、それに伴いシステムの目的はますます多様化し、また状況によって変化するようになってきている.そこで、これまでのシステム科学、システム工学、システム思考、システムズアプローチなどシステムに関わる概念を整理、再定義しシステム学として統合して取り組む必要性が指摘されている。
このような“AI”とシステム学は対立するものなのか、協力するものなのか、補完し合うものなのか、あるいは共創するものか? 本企画では、話題提供者によるシステム学の新しい概念の紹介と複雑な現実問題をインテリジェンスを活用して解決する研究の紹介を踏まえて、これらについてパネル討論を行い、新たなシステム学の構築をシステム・情報部門で進めていく端緒としたい。
モデレータ
黒江 康明(同志社⼤学‧京⼯⼤)
話題提供・パネリスト:(タイトルのリンク先に講演内容の概要が記載されています)
実社会での進化計算、専門家の介入が必要
基礎研究での知見の蓄積が実際に役に立つ
システムと価値創造
対象としてのシステム:大規模化、複雑化など
技術・技法としてのシステム:システム観、システム科学など
見方・捉え方としてのシステム:環境との関連など
システム概念図の提示
工学的:課題を解決する、文系は期待を満足に変える→本来はこちら
知性(課題→結果:AIやintelligence)・理性(知性と感性を繋ぐのが理性)・感性(期待→満足)
レジリエンス:頑健性+アジリティ
システム(人工物)、人、環境の関係 →システムズアプローチ
合成人口データ:地域毎ならびに全体の平均的な統計指標に併せて合成(組み合わせ最適化問題を解いている)→本番後の追加情報:公開元の統計情報からの完全な自動化は難しくいくつか人手をかけている。計算自体は全国規模だとsuper-computerで3ヶ月程度
社会シミュレーション:人間の行動をシミュレーションすることにより,行動によりどのように結果が変わるのかを検証できる.
討論概要(敬称略)
パネリスト:
礒川 悌次郎(兵庫県⽴⼤学)
システムズアプローチとは何か。課題を解決するときに「システムの考え方」のうれしさとは?
玉置:システムの見方→システムの内と外を色々な視点から見れる
ライトついてますか、問題など。
関 宏理(大阪大学)
村田先生のデータは公開可能か
村田:可能(すでに公開済)、過去のデータも公開
現在だけではなく過去のデータも作成できるので,例えば,2010年と2015年のデータを比較するということができる
合成データの作成方法:国勢調査など国が公開しているデータを使っている
プライバシーを配慮してどのようにしてデータを作っているのか?
k-匿名化:統計的に個人を特定されないためのぼかしかた
真の世帯からkセットの合成人口データを作成する
地域の統計的特徴を保持した架空の世帯・個人をk個作る
プライバシーは侵害しないが,公開範囲は気をつけている(研究者のみ)
黒江:データの発展、深化・進化→別世界を仮定して模擬実験することもある
本間 経康(東北⼤学)
物理(現実)とモデル、digital twinやmetaverse, digital化の目標、やAIとの関連はいかがか。
佐藤:(建築モデルで)定量化できるものはそれなりだが、定性的な主観などは難しい。
玉置:おそらく価値創造に関係するが、お題はあるけど具体的にはまだよく分からない
聴衆から(村田への質問)
スパコンにより日本全体の人口変化をどのようにして予測するのか?
5年単位の国勢調査でモデリングしている.その間を予測しようとしている(補完).外挿はまだ.
自然増減・社会増減をどのように取り入れるのかを考える必要がある
畠中の質問:単一目的だと拒否反応?だが、多目的だと受入れやすいのは何故か
佐藤:単一目的は最適解が出てくると現場が拒否する(受入れられない。あら探し=否定理由を探す状態になりやすい)。多目的になると(準)最適解が複数出てくるので現場が採用しやすいようだ
村田:合成人口データに落とし込むところに人間が関与する
藤井:Safety1, safety2の違い。後者は人を包含する立場。主観を排除した客観主義の科学からの脱却
玉置:単目的か多目的かの設定の際に選択が入りすぎているので、期待が変わる?見方が変わる?多目的だと複数の見方を包含する。
黒江の総括
現実をリアルに人、環境、人工物を含めたリアルスケールなシミュレーションにはインテリジェンスおよびシステム学としての見かたが必要。
現実の問題、人、環境、人工物を含めた現実問題を解決するにはインテリジェンスをうまく導入する必要がある。そのためにはシステム思考、システム学が鍵となる。
本日のような議論を継続して深めていくことが必要。