マネーロンダリング対策に関する知識(暗号通貨規制の文脈から)
注意事項:当文書は、星暁雄が個人的な関心から表記の情報を書きとめたものです。予告なしに内容が更新される場合があります。
当ページに関連して、以下のページにも情報をまとめています。
■AML/CFTの基礎知識を得る資料
●学術論文、学会発表資料
尾崎 寛, 発表資料:米国の反マネーロンダリング規制について, 2008年3月22日
(日本安全保障貿易学会(JAIST) 第6回研究大会の発表資料。発表時点での発表者の所属は三井住友銀行)
花木 正孝 , 〈論文〉国際的なマネー・ロンダリング防止(AML)体制の発展とわが国におけるAML体制の将来, 2017-07-31
金惠京, アメリカにおけるマネー・ロンダリング対策の評価と課題-テロ防止の視点から-
2017 年 3 月 日本大学危機管理学部 危機管理学研究所
●教科書
公認AMLスペシャリスト認定試験スタディーガイド 第4版
日本語による公認AMLスペシャリスト(CAMS)の教科書。全333ページ。原書2007年、翻訳2010年。最新情報はないが、体系的知識を記述した教科書として。
このp.114に"米国愛国者法・USA Patriot Act"の記述あり。
2001年10月の米国愛国者法(米国公法第107-56号)の(略)311条:マネー・ローンダリングの主要懸念対象に対する特別措置(米国連邦法典第31編第5318条A)(Special Measures for Primary Money Laundering Concerns:31 U.S.C. 5318A)により、米国財務省は、財務長官が“マネー・ローンダリングの主要懸念対象”であるとした、外国の法域(司法権の異なる国や地域)、外国の金融機関、特定の種類もしくは国際取引や口座に対し、段階的かつ規模に見合った措置を適用するよう定めています。"
受験者ハンドブック
説明文
"2001年に創設された、公認AMLスペシャリスト協会(Association of Certified Anti-Money Laundering Specialists、ACAMS)は、マネー・ローンダリング対策分野の専門家にとって第一の会員組織です。"
■FATF
ホームページ
FATF: Virtual Assets
Guidance for a Risk-Based Approach to Virtual Assets and Virtual Asset Service Providers, 21 June 2019.
PDF
2019年6月21日に発表された仮想通貨/暗号資産関連マネーロンダリング対策の「解釈ノートとガイダンス」。トラベルルールをVASP(仮想通貨/暗号資産交換業者)に対して適用するよう求める。
FATF Private Sector Consultative Forum, Vienna, 6-7 May 2019
2019年5月6〜7日にかけてのウィーンにおけるFATF民間セクター諮問フォーラム
Money laundering risks from “stablecoins” and other emerging assets 18 October 2019
2019年6月のLibra構想発表を受け、グローバルステーブルコインへの警戒を記した文書。
■2014年のFATF声明で日本は名指しされた
FATF声明の公表について 2014年6月28日
マネロン・テロ資金対策で初の対日声明、早期の法整備求める=FATF 2014年6月28日
"日本政府に対し、必要な法整備が遅れているとして早期の対応を求める声明を発表"
■アメリカ合衆国の銀行秘密法 (Bank Secrecy Act, BSA)
Office of The Comptroller of the Currency (米財務省 通貨管理局)による説明
Wikipediaの記事
Investopediaの記事
■警察庁
犯罪による収益の移転防止に関する法律
警察庁刑事局 組織犯罪対策部 組織犯罪対策企画課 犯罪収益移転防止対策室(JAFIC)
マネー・ローンダリング対策の沿革
犯罪収益移転防止に関する年次報告書 令和元年
(日本における不審取引の報告)
犯罪収益移転危険度調査書 令和元年12月
"平成11年の組織的犯罪処罰法制定により届出の対象が薬物犯罪から重大犯罪に拡大され、同法が施行された平成12年以降、届出受理件数は年々増加し、現在も引き続き増加傾向を維持している。令和元年中の届出受理件数は44万492件と、前年より2万3,027件(5.5%)増加した。(p.31)"
JAFICと国際機関等の連携
マネー・ローンダリング対策等に関する懇談会
同懇談会の第4回 説明者配付資料(KPMG あずさ監査法人、リスクベースアプローチについて説明)
■金融庁
疑わしい取引の参考事例(仮想通貨交換業者) 令和2年2月21日更新
改訂FATF勧告の概要 平成24年2月17日
FIU準備室:金融監督庁(その後、FIUは警察庁JAFICに移管)
■財務省
「金融活動作業部会について」 関税・外国為替等審議会 外国為替等分科会 配布資料 令和元年6月14日
■調査報告、オウンドメディア、商業メディアの記事
CipherTrace, Q2 2018 Cryptocurrency Anti-Money Laundering Report
"In Q1and Q2 of 2018, nearly three times as much cryptocurrency was stolen as in all of 2017"
"US FinCEN will enforce Anti-Money Laundering (AML) regulations globally"
CipherTrace, Q4 2019 Cryptocurrency Anti-Money Laundering Report
"For the year, losses from fraud, misappropriation of funds, exchange hacks and thefts add up to US$4.5 billion."
MIT Technology Review
ビットコインは「マネロンの温床」の汚名を返上できるか 2017.09.14
EY の紹介文:AML等に関するニューヨーク州金融サービス局の最終規則 2017.01.18
EYのレポート本文: AML等に関するニューヨーク州金融サービス局の最終規則(日本語)
リスクベース・アプローチに基づくAML/CFT (NRI)
金融庁 総合政策局 マネーローンダリング・テロ資金供与対策企画室長 尾崎 寛氏とNRIの対談。
(尾崎氏は三井住友銀行を経て2018年2月から金融庁)
BITPoint社長小田氏が語る、第4次FATFに向けて仮想通貨交換業者が構築するセキュリティ〜日本国際金融システムフォーラム2019より, 仮想通貨Watch, 2019年3月6日
マネーロンダリング対策の変遷、2019年10月頃実施予定の第4次FATFとは? 警察庁JAFICの年次報告書から学ぶ「仮想通貨交換業の規制背景」, 仮想通貨Watch, 2019年3月8日
NEC wisdom FATF勧告とは?第4次対日相互審査前後に取るべき対応やリスクベース・アプローチについて解説 2019年08月30日
(増島 雅和氏インタビュー)
KYCと反社チェックって別物?マネロン対策における位置づけについて, Fintertech
■暗号通貨への規制のはじまりは2015年のG7
- G7エルマウ・サミット首脳宣言(2015年6月8日)
「我々は、仮想通貨およびその他の新たな支払い手段の適切な規制を含め、すべての金融の流れの透明性拡大を確保するために更なる行動をとる」
- FATF(金融活動作業部会)ガイダンス(2015年6月26日)
「各国は、仮想通貨と法定通貨を交換する交換所に対し、登録・免許制を課すとともに、顧客の本人確認義務等のマネロン・テロ資金供与規制を課すべきである」
「日本の仮想通貨規制は、この2015年のFATFガイダンスを"まじめに"守る形で進めている」
(金融庁企画市場局参事官の松尾元信氏、2019年3月のCARFシンポジウムでの発言)
仮想通貨は投機商品か、イノベーションか〜金融経済の専門家が議論した「CARF2018年度フィンテック研究フォーラム公開シンポジウム」から, 仮想通貨Watch, 2019年3月22日
■G20と暗号通貨
G20声明文 仮想通貨関連箇所を読み解く 金融庁、利用者保護での前進を高評価 ビットコイン価格の上昇を注視, Cointeregraph Japan, 2019年06月10日
G20財務相会議閉幕。貿易摩擦への懸念表明と国際協調の重要性を訴え 仮想通貨にFATF改訂規制基準を適用する方針を再表明, 仮想通貨Watch, 2019年6月10日
FSB議長、G20首脳宛ての書簡で仮想通貨リブラへの懸念を表明 国際決済銀行はGAFAなど巨大IT企業の金融サービス参入に警鐘, 仮想通貨Watch, 2019年6月27日
G20財務相、デジタル通貨の厳格規制で合意 深刻なリスク懸念, ロイター, 2019年10月19日
米ワシントン開催のG20財務相・中央銀行総裁会議で、Libraなどステーブルコインへの厳格な規制の導入で合意。
G20が閉幕 リブラなど仮想通貨に「深刻なリスク」, 朝日新聞, 2019年10月19日
G20財務相、FBリブラなどデジタル通貨の厳格規制で合意 深刻なリスク懸念, 2019年10月19日
FSBがステーブルコインの規制問題を検討。G20各国首脳に助言を求める 財務相・中央銀行総裁向けに規制問題に関する書簡を提出, 仮想通貨Watch, 2019年10月21日
G20閉幕 共同声明で仮想通貨ステーブルコインにも言及, CoinPost, 2020/02/24
リヤドで開催した主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、「グローバルなステーブルコイン」のリリース前に国際金融システムへの影響を精査する必要性を表明。
【速報】G20、仮想通貨リブラ含むステーブルコインの厳格な規制で合意|黒田総裁は金融政策への影響も懸念, Cointeregraph Japan, 2019年10月19日
■FATFトラベルルール関連
KPMG/あずさ監査法人, 暗号資産交換業者へのトラベル・ルールの適用, 2019-10-02
日本国内のVASPsに相当する暗号資産(仮想通貨)交換業者に対してトラベルルールが適用される場合の影響について考察した文書。
(プレスリリース)Basset、【日本初】仮想通貨のFATFトラベルルールに関するディスカッションペーパーを発表, 2020年1月31日
Beyond KYC: Regulators Set to Adopt Tough New Rules for Crypto Exchanges, CoinDesk, May 20, 2019
FATFの仮想通貨に関するガイダンスと解釈ノートとは? 「仮想通貨」と「仮想通貨サービスプロバイダー」の定義と国際的な規制基準, 仮想通貨Watch, 2019年6月10日
All Global Crypto Exchanges Must Now Share Customer Data, FATF Rules, CoinDesk, Jun 21, 2019
Kevin Helms, FATF Releases Global Standards for Crypto Assets, Bitcoin.com, Jun 22, 2019
FATF、仮想通貨とマネロンで新たなガイダンスを発表 議論を呼んだ項目を維持, Cointeregraph Japan, 2019年06月22日
FATF、1000米ドル相当の仮想通貨送金に厳格なKYC義務づけ 2月草案化された仮想通貨交換業等に関する規制の正式採用が決定, 仮想通貨Watch, 2019年6月24日
仮想通貨規制にも関連するFATFの相互審査とは? 日本は10月末から立ち入り審査
評価結果が悪いと国際金融上のペナルティを受ける可能性もある, 仮想通貨Watch, 2019年6月28日
FATF解釈ノートで議論を呼ぶ7bを解説 仮想通貨サービス事業者に影響, Cointeregraph Japan, 2019年06月28日
Daniel Palmer, Blockchain Solution for FATF ‘Travel Rule’ to Keep User Data Private, CoinDesk, Jul 2, 2019
HISASHI OKI, FATFの仮想通貨マネロン対策「トラベル・ルール」なぜ議論を呼んでいる?技術面・哲学面から課題あり【独自】, Cointeregraph Japan, 2019年07月02日
概要
FATFトラベルルールをめぐる議論を紹介。
●トラベルルールの技術的な課題
(1) どうやって受け手がVASPだと分かるのか?
(2) どうやって情報を移転するのか?
顧客情報をVASP同士で交換するために必要な信頼できる新たなインフラ構築が必要。情報移転の期限、他国のVASPが同じルールを同時に遵守できないときの対応など不明点残る。
(3) 異なる名前を持つ同一人物が登録されていたら?
「中国人や香港人は一般的に英語名を持っている」
●トラベルルールへの反応
Chainalysisのジェシー・スピロ氏は今回のFATFガイダンスが「思ったよりも詳細が書かれていた(民間セクターが修正する余地がない)」と語る。短期的には巨額の投資を予想。
ウォレット業者Crypto.com COOのエラルド・グース氏は「新たなルールのおかげで伝統的な銀行と働きやすくなるかもしれない」と期待。
Krakenのコンプライアンス担当スティーブ・クリスティー氏は、金融プライバシーの問題について認識しており、トラベル・ルールは「哲学的な観点から仮想通貨業界が直面する根本的な課題」と語る。「妥協点を探さなければならない。もしあなたがビットコインのコアな信奉者でユートピアに到達したいと考えているなら、そこに行くまでの方法を見つける必要がある」「もう少し時間があってFATFと業界が協調できれば、違う結果になったかもしれない」「(締め切りが短く)FATFの手に負えなかった」「トラベル・ルールは電信送金の技術。AML/CFTのルールはその時代の技術にあったものであるべきだ」「我々が対象にしているのはP2Pで無許可型のネットワークと指摘。SWIFTのような通信ネットワークではない」
●FATF側の発言と内部事情
FATFのトム・ネイラン氏「(トラベルルールの実装はこれからの課題との意味で)民間セクターによってルール適用のために必要な技術的なシステムを開発するという作業が残っている」。
FATFの前代表ロジャー・ウィルキンス氏は「合理化は必要だ。合併も起きるだろう。それがイノベーションを殺すとは必ずしも思わない」
"クローズドセッションで、VASP側の1人がFATFに対してアンチマネーロンダリングのためにブロックチェーンですでに利用が可能になっているパブリックなデータを使うことを提案し、トラベル・ルールの適用を見送れないか聞いた。これに対してFATFは「それは第2フェーズで行う」と回答した。「第2フェーズ」で何が変わるのか、不確かなままだ"
FATFのトップ(President)だった米国人のマーシャル・ビリングスリー氏は2019年6月30日に退任。現在は中国人(中国人民銀行 総局長の刘向民, Xiangmin Liu)がトップ。この交替がタイムリミットだった可能性を示唆。「FATFの新たなルールは、米国仕込みのルールだ。だから(米国トップが在任中に)急いで通したかったのだろう。歴史的に、次の代表がルール変更をしないという紳士協定がある」
日下弘樹, FATF新規制「トラベルルール」VASP間での個人情報の共有手段をV20で議論
GDPRに対応し非中央集権制を保った手法を提案=JBA加納代表, 仮想通貨Watch, 2019年7月10日
Nikhilesh De, FATF「トラベル・ルール」遵守が仮想通貨取引所の競争優位に? ― CipherTraceやNetkiが狙う規制による需要, CoinDesk Japan, 2019年 9月 12日
Kevin Helms, US to Strictly Enforce Crypto Rules Similar to FATF Guidelines, Bitcoin.com , Nov 18, 2019
米国政府、仮想通貨のマネロン対策を強化。FATF「トラベルルール」に準拠へ, HEDGE GUIDE, 2019.11.20
斎藤健二, 仮想通貨送金に個人情報要求 FATFが求めるトラベルルールの課題, ITmedia, 2020年01月31日
日下弘樹, Basset、FATFの仮想通貨トラベルルールを分析 仮想通貨交換所に向け対応手法提案する文書を公開, 仮想通貨Watch, 2020年1月31日
■ニュース、議論の材料
マネロン国際審査団が日本上陸、金融業界が恐れる二つの質問 2019.10.25
第4次FATF対日相互審査を踏まえて 2019.10.28
米議会 ”人身売買と金融との関連性を議論するための公聴会” に提出されたFINの陳述書
Financial Integrity Network, Human Trafficking and its Intersection With the Financial System, September 3, 2019
銀行秘密法(BSA)のもと、小口仮想通貨決済、ノンカストディウォレット、マイナー(検証ノード運営者)の規制を主張(さらに厳格な暗号通貨規制を主張)。この ”人身売買と金融との関連性を議論するための公聴会” では暗号通貨への厳しい意見が相次いでいる模様。
世界から消える現金、中銀も行方つかめず 現金の最大の使い道は「たんす預金」だと指摘する声も, 2019 年 12 月 16 日
FATF extends its assessment and follow-up deadlines in response to COVID-19, 28 April 2020
暗号資産関連は1%未満、だが最近は急増──FinCENの不審行為報告
要約:バーチャルイベントConsensus: Distributedで、FinCENのKenneth Blanco局長が「一部の海外企業は不正行為の撲滅に十分取り組んでいない可能性がある」と発言。「アメリカ国外に拠点を置く企業が我々の規則を遵守せずにアメリカの人々とビジネスを行うことへの懸念はますます大きくなっている。アメリカの金融システムとアメリカ市場にアクセスしたければ、規則を遵守しなければならない」。
金融庁が暗号資産・ステーブルコイン・フィンテックの専門人材を強化へ 2020年5月19日
■現行のマネーロンダリング対策への異論
■CGAPフォーカス・ノート 「AML/CFT:金融包摂と金融完全性を強化する」
金融包摂を推進する国際組織CGAP(Empowering the poor through financial services, 貧困層支援協議グループ)が発表した資料。「金融犯罪を減らすための的外れな努力は、金融包摂の進捗速度を遅らせる恐れがある」と指摘。
原文は2008年。 "新興市場においてこれらの基準が不適切に履行され、フォーマルな金融サービスから何百万人もの低所得層の人々を排除する役割を果たしていることがある"
原文: Isern, Jennifer, and Louis de Koker. 2009. “AML/CFT: Strengthening Financial Inclusion and Integrity.” Focus Note 56. Washington, D.C.: CGAP.
■論文「反マネーロンダリング規制の失敗:費用便益分析はどこにある?」
Lanier Saperstein, Geoffrey Sant, Michelle Ng,
The Failure of Anti-Money Laundering Regulation: Where is the Cost-Benefit Analysis? 12-2015
(要約)
●事実関係
(1) 2015年、Citigroupは、子会社であるメキシコの銀行Banamex USAのAMLに弱点があったとして1億4000万ドルの制裁金を支払い、3支店を閉鎖。しかし具体的なマネーロンダリング事例は特定されていない。
(2) Standard Charteredにもマネロン対策の弱点で3億ドルの罰金。
(3)HSBCがコンプライアンスに費やすコストは年間7.5億〜8億ドルと試算。
●影響
(1)Banamex USA支店閉鎖によりメキシコ国境の企業は現金取引が増え、マネーリンダリングのリスクはむしろ増大している。メキシコでは、現金を多用する企業が銀行口座を閉鎖される事態に。
(2)米国と英国の主要銀行はソマリアへの電信送金を停止。米国在住のソマリア人はアンダーグラウンドな手法で送金するため、マネーロンダリングのリスクは増えている。
●議論
銀行に課せられたより高い基準と多額のコストが、実際にマネーロンダリングやその他の金融犯罪の削減に効果的であることを示すものはない。
規制上の処罰とコンプライアンスコストが、銀行がリスクの高い地域や事業から撤退する一因に。この「脱リスク化」はかえって金融活動の透明性を低下させ、犯罪を助長している。規制当局は意図せずして金融犯罪の摘発を難しくし、犯罪ネットワークを強化してきた。
小規模な銀行は、大規模なAMLプログラムを実施するするコストに釣り合わなくなっている。
●結論
現行のAML/CFTにはcost-benefit analysisがなく、極端な方向に偏っている。費用と効果が見合うかを検証するべきである。
■CoinDesk/MIT Digital Currency InitiativeアドバイザーのM. J. Casey氏のコラム
「FATF、Bitcoin、金融排除がもたらす間違った結果」
Michael J. Casey, "Perverse Outcomes: FATF, Bitcoin and Financial Exclusion", CoinDesk, Jul 29, 2019
内容:FATFの規制が、環境が整備されていない国々で「金融排除」として機能している。厳格なKYCルールは、本当にマネロンを減らしているのか。不正検知の技術が向上すれば、政府IDによるKYCは省略できるのではないか。しかし規制当局はネガティブ。匿名性は認められない。FATFで議論されている「民間部門が提供するデジタルID」が希望になるかもしれない。
KYCを必要としているのは捜査機関。犯人を捕まえるためにKYC情報を必要としている(捜査機関がKYC情報を使った事例を ブロックチェーン追跡ツール に置いています)。KYCを回避する方向の規制緩和は期待しづらい。ここで政府IDがない国でも、民間のIDで同等の効果があれば、マネロン規制を遵守と認めてもらえる可能性はある。FATFトラベルルールはKYC(Know Your Customer)より厳しいKYCC(Know Your Customer's Customer)。 ■Anti-Money-Landering Laws — a Sheep in Wolf’s Clothing | by David Siegel | Medium
""FATF(金融活動作業部会)が進めるAML/CFT(マネーロンダリング対策/テロ資金供与対策)は、毎年60億ドルを費やし30億ドルを阻止したが、これはマネロン全体3兆ドルの1%のさらに1/10(程度)過ぎない。費用対効果が悪すぎイノベーションを阻害している。"
■New study: AML=BS?
2018年5月24日
"国連調査では2011年に0.2%を阻止。2016年ユーロポールは1.1%を阻止。阻止率は0.1%〜3.3%の間と評価"